伝言
94話 伝言
「オイ、この写真集さぁ。かたよってるよな」
マカさんが、カメラ小僧が送ってくれたハロウィンの写真集を見ながら。
彼、ご丁寧に本の編集までして作ってくれた。
まあ、写真持ち込んでプロの製本所には出せないわね。内容が内容だけに。
あの大騒ぎになった新聞写真以上だもの出来上がった写真集。
「かたよってるって?」
静ちゃんが覗き込んだ。
「なんだか、警備の女の子に集中してないか」
「オニ娘の七頭ちゃんね。ほんと、彼女の横顔アップの向こうに男妖怪たちが。本の半分以上彼女が写ってる写真ね」
「これなんか、手前のおまえらより奥のその七頭のピントがあってる」
「ホントだぁやっぱりオタクねぇあいつ」
「おっコレカワイイじゃないか静のアップ。髪が踊ってる」
「あ、初めて。マカさんがあたしをカワイイって」
「せっかくホメたのに、後ろ口で肉まん食べながら言うなよ」
「最近お芋ばかりで、肉まんおいしゅございます」
「肉まんくらいなら、いつでも食わしてやるから、いつでも来い!」
「じゃ毎日来ちゃう」
ああ、なんか二人でじゃれあっている。
「やあ、二人でちちくりあってるとこ悪いなあ」
「ちちくりあってない! 最近よくマカさんチに来るね一反姐さん」
「ああ、テレビ見にな。あのな、気晴らしに東京のお歯黒のトコに行ってきたんだ」
「ええ、お歯黒姐さんのトコに。寝肥の事務所?」
「ああ。なんだか静たちに手紙を渡してくれと」
一反姐さんは頭髪の中から手紙を出した。
「社長からだ」
「社長……ああ寝肥ね。なんだろう。映画のオーディションうけないか? 交通費はこちらで。だって」
「あ、ソレ私も言われたけどエキストラだから私はオーディションなしで出られると」
「ナニそれ? どんな映画なのかしら」
「とにかく妖怪が沢山出る映画だそうだ。確か『妖異百物語』の現代版で、20☓☓とか、付くらしい」
「面白そうじゃないか。って、その映画、本物出す気か?!」
「いいんじゃない。古いのにも本物出てたんだから」
「それ、ホントかよ。アレは都市伝説だと」
「ホントよ出た本人に聞いたもの」
「おまえらの存在を知ったから、まんざらウソではないだろうが。現在の映画ならCGとかあるからわざわざ本物使わなくても、プロデューサーや監督は何を考えてる」
「わたしゃ詳しい事は知らないけど、返事を早めにくれって」
あのハロウィンの新聞写真のせいで巷では静かな妖怪ブームなんだそうだ。
「行くのか?」
「あら、マカさん寂しい?」
「いや、静かに仕事が出来てイイ」
「寂しいぃって泣いてたって聞いたけどなぁ」
「誰が泣いてたって」
「OKなら、言ってあげるよ。じや今夜廃家でババァがなんかくれるって」
と、いそいそ出て行った一反姐さん。
「あいつが言ったのか、オレが泣いていたって」
「さあ……」
静ちゃんは、自分の顔の口に肉まんを入れ。
「ハグハグ。どうする? アヤ」
「わたしは静ちゃんが行くのなら」
「行く時は、ちゃんと言ってけよ」
つづく




