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ムジナ男

92話 ムジナ男


「沼袋のジイさんの話ではムジナ男という半妖怪が。まだどこで、尻子玉精力剤を売ってるのかは、わかりません」


「そう。ムジナ男か……。たしか、御茶ノ水に。そいつか、どうかわからないけど、御茶ノ水にムジナ男で愛宕山という男がいるの。あたってみて」


 このアパートか。


《どちら?》


「紫咲事務所から来た七頭というものです」


《紫咲。紫咲レイさんの》


 そういえば社長の人間名は紫咲レイだった。


「ハイ。ムジナ男さんですよね」


 ドア開き、ボサボサ頭の痩せた男が。


「なんです?」

「あのムジナ男で尻子玉精力剤を売ってるものがいると聞いて」

「ああシリコリンPですね。アレは、僕の兄さんが。ソレよりレイさんは、僕の事をなんと」

「いえ、特になにも……」


 こいつ、社長に惚れてるな。


「ああ、役に立つ男と言ってたかな。あのそのなんとかPとかいうの売ってるお兄さんは?」

「さて、兄は何処に……あ、ちょっと待ってください」


 ムジナ男は、背広からスマホを出し。


「あ、マリちゃん。あのアニキは今何処にいるか、わかる?」


《知ってるよ。だって、今ココに居るから》

「えっ! ちょと代わって。あ、アニキ。レイさんが捜してるよ」

「あ、代わって! あたしレイさんトコのものなんだけど」


 兄は、レイさんの名で、すぐに東京に来ると。

 このムジナ兄弟、社長に惚れてるんだな。



 一条早苗邸。


「販売はもうやってないそうでしたが、売れ残りの一本、手に入りました」

「それは良かったわ。それでコレはいかほどで?」

「ああ、タダで手に入れましたから。それに捜査費は大島様にいただいてますから」


 捜査費。副編集長が。


「そうですか。では娘に。コレを効きますかね?」

「さあ、どうかしら。試していないのでなんとも」


 娘を連れてきて尻子玉の精力剤を一気に。

 ハアハアとあらい呼吸を、大丈夫かしら?


「アベカワ君、阿倍川くん、アベカワァア。あんたカッパだったの!」


 

 幻想文学エンタ編集部。


「で、娘は正気に戻って。アベカワという河童に変なコトされたと……尻子玉ってやっぱりアナルから」


「だろうな多分」

「娘は元に戻ったけど、河童に尻子玉を取られた女なんかお嫁にいけないと、家でふさぎ込んで、いまだに学校には」

「そいつは可哀想に……あ、そういうのに適切なカウンセラー知ってるんだ紹介しようか?」

「また、妖怪関係ですか?」


               つづく


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