稲荷隆平2
83話 稲荷隆平2
日が暮れるのは早い季節。
おやつのお稲荷さんを食べて、マカさんの家に帰れば、薄暗くなってた。
マカさんは、すでにジンギスカンの用意を終えていた。二つの使い古したバケツの上にジンギスカン用の鍋が。一つは静ちゃん専用らしい。
まえに一度したことがあったので静ちゃんの食欲は承知してる。
まあマカさんのことだ肉より野菜はかなり多め。
「おお、どうだった観光は」
「いや、疲れていたせいで半分もまわれませんでしたははは。河童の像や稲荷神社は沢山見ました。残念ながら、河童や座敷わらしには……」
そこへなんと、河ババァがカゴを背負って現れた。
「おかえり。ふたりとも。芋をもらったんで、持って来たよ。ジンギスカンかい、コレはイイ時に」
河ババァが、大きなさつま芋をカゴに入れて。
さつま芋も野生では、採れない物だ。馴染みの農家さんが多い河ババァには農産物をよくもらう。
でも、なんで河ババァがマカさんチに?
「みやげ、楽しんだよフォフォフォ」
見た目は普通のお婆さんの河ババァなんで、マカさんも、稲荷さんも妖怪とはわからない。
ただの知り合いの老人だと思ってる。
「おい、俺には、みやげないのか?」
「マカさん、あたしらにナイショで東京に来てたじゃないですかぁ。部屋に東京ばな奈の箱ありましたよ」
「あれは、東京から来た出版社の担当が持ってきたんだ」
なんだかんだとみんなでの楽しい夕食だった。
夜空に一反姐さんが居たのも知ってたよ。
姐さんが河ババァに話して、肉とかもらってた。
よく朝。
「先生、静さんアヤさん。どうもお世話になりました」
「お世話になったのはこちらです。クルマに乗せていただき助かりました」
「あれは、コチラに来るついでみたいなモンでしたから。今度はゆっくり出来る時間をつくり、来ますので。その時はよろしく、では」
稲荷さんは東京に帰った。
「ゆっくりか。東京じゃ忙しいのかね」
「あの人は占い師なんです」
「聞いたよ。多分あいつ、お前らが人間じゃないって知ってたろうな」
「え〜クルマに乗せてくれた時から、そんな事はなにも」
「わからねぇはずないよ。あいつカンナガラ呪法の伝承者で呪術師だ。お前らの妖気がわからないはずはない」
「ナニそれ?」
「カンナガラ呪法は古代日本から伝わる裏呪術だ。それの占術を使い商売してるんだとさ」
稲荷さんは呪術師なんだ。
はじめからわたしたちの事を知っていて。
「そんな秘密をマカさんに……。あたしらの知らないとこで、随分仲良くなってたのね」
「なんだか、変な言い方するな。べつに秘密でもなんでもないって、チラシくれたぞホラ」
マカさんが稲荷さんが仕事しているという占い部屋さんのチラシを見せてくれた。
「東京に来たら寄ってくれとさ」
チラシには七人の占い師の顔写真が載っていて。
7番の部屋には「稲荷隆平、カンナガラ占術」と。ホント、秘密でもなんでもないんだ。
「ホラアヤ、裏原宿って書いてある。彼の仕事場って百鬼夜行があった、すぐ近くじゃない」
つづく




