遠野の散歩
74話 遠野の散歩
「遠野にも、商店街があるんですね駅前、見て驚きましたよ」
「田んぼや畑しかないと思ってたのか。テレビでしか知らないモンゴルが草原しかないと思ってたのと同じだ。商店街に俺の古本屋があるんだ」
「そうなんですか。先生は古本屋さんも」
「知らなかったのか。前の担当は知ってたぞ。まあいいけど」
「でもヤッパ、遠野と言ったら田畑に山に川と河童ですね。駅前に河童の像がありました」
「アイスでも食べよう」
「座敷わらしソフト?」
「食うか美味いぞ」
「コレは、小豆味ですね。なんで座敷わらしなんです?」
「座敷わらしの好物なんだ小豆は」
「小豆……小豆あらいって妖怪いますよね。もしかして座敷わらしと小豆あらいは同じ妖怪とか」
「面白い説だ、小豆の関係した妖怪ってけっこういるな。今度来たら彼女、あ妖怪娘な。聞いてみるよ」
「美人だという妖怪の。来ないんですか先生んち」
「ああ、彼女らは今、遠野に居ないんだ。散歩もこれくらいにして、帰るか仕事しないとな。おあ!」
「どうしたんです先生。なにか居ました?」
高田くんの頭上に一反姐さんが。
「ボクの後ろにナニか居ました?」
「あ、いや見間違いだ……遠野はそういう所だ」
「ナニがです? 待ってください先生」
客というのはあの若ぞうか。
しかし、二口たちホント、遅いなぁ。ハロウィンが終わってから三日もたつ。なにやってんだか。
「おや、一反ババァ」
「ババァ言うなババァ」
「あいつら遅いのぉ、帰る前にもらったおみやげは、あきたトコだ。もうちょいイケメンなら一年はもったのに」
「贅沢だな河バア。おみやげもららっただけマシだよ。わたしゃ何ももらってない」
「おまえさん、あっちで会ったんだろ」
「ああ、すぐ帰ると言ってたんだがな。様子でも見てくるか。じゃあな」
「マジですか、あのジイさんのとこにバイトのコを。それは酷だ。え、喜んで帰ってきた。副編集長に感謝したって。へえーあのジイさんのファンねぇ。あハイ。順調に進んでます。明日の夜には会社へ。じゃ」
先生は、パソコンに向かって夕食もとろうとしない。作家って、仕事始めると皆こうなんだな。
飛縁魔みずち先生も三日三晩。
あ〜先生のボディラインがくっきり出たジャージ姿が浮かんできた。裸も見たけど。あのジャージ姿がまたイイ。
それにあの美貌。ん、あの美貌を何処か違うトコで見た気がする。授賞式の写真。だけじゃない。
そりゃ実物にも会ってるが。目の前だと干物女ぶりがチラつきジャージ姿しか目に入らない。
何処だっけ?
つづく




