八犬伝とコインランドリー
62話 八犬伝とコインランドリー
城山公園で、クルマから降ろしてもらい。
館山城跡に、ここは「八犬伝博物館」になっていて、入る予定はないので、八賢士の墓なるとこに行く。
「おお〜い。あわ姫居るかぁ」
「誰だ? おまえは」
お姫様が現れた。
彼女があわ姫? あわ姫は「八犬伝」の伏姫のモデルと静ちゃんが言っていたが、姿を表したのは姫だけで静ちゃんがハチ公っていう犬は居ない。
「あたしだぁ」
静ちゃんは、後ろを向き後頭部の口を見せた。
「二口女かい。久しぶりじゃのぉ」
「ハチ公は?」
「ハチならホラ、おまえの後ろに」
いつの間にわたしらの後ろに大きな犬が。
八犬伝の八房みたいに八つのブチは、ない。
白い犬だ、でも大きい。馬までいかないが人が乗れるくらい大きい。
あわ姫はあれに乗るのね。
「おーい。ハチ公、元気だったか。ん、忘れた?」
ハチ公は、憶えてないようだ。いったい何年前に会ったのかしら。
あわ姫は、もともとこの地で祀られてアメヒリメノミコトの遠縁で、今は彼女がこの地の怨霊を鎮めてるそうだ。
里見家の殿様は、滅んだ後に怨霊化して暴れたそうで、八賢士の墓はそれをおさえてるそうだ。ちなみにこの墓の八人は八犬士とは、関係ないそうだ。ホントは6人だと。
いろいろと小説の作者の都合で八人になったらしい。六人の塚は別にある、なぜだか七人のもあるそうだ。
この地をホントに守る大きな犬に乗るあわ姫の姿が八犬伝の伏姫のモデルになったという。
八犬伝の作者は、ココであわ姫に会ったのかしら?
近くにある神社に彼女はひっそりと祀られているそうだ。
静ちゃんにハチ公がなついている。
「静ちゃんを思い出したのね」
「いや、たまたま持っていた『チーかま』やっただけよ」
予定より短い再会だった。
クルマに乗せてくれた二人が「帰りも」と、約束した時間が、まだ大分先。
歩いてるとコインランドリーを見つけた静ちゃんが洗い物をしようと。
入った。
誰もいないからと、下着を洗うと。
百鬼夜行の後、宿でゆっくりもせず出てきたので下着を取り替えてない。
静ちゃんは、ブラとショーツを脱ぎ洗濯機に、ためた洗い物と放り込んだ。
「アヤも、誰も居ないうちに」
「静ちゃんはスカートだからいいけどわたしジーンズだから脱ぎにくい」
ああっもうっと静ちゃんは、着ていたブレザーとブラウスを脱ぎわたしの腰に巻いた。
「コレなら大丈夫」
と、わたしのジーンズを下げた。
いそいそとショーツを脱ぎジーンズを履いた。そして脱いだ下着を洗濯機に。
しかし、ブラウスを脱いだ静ちゃん、上半身裸だよ、とわたしの腰のブラウスを渡した。
洗い終るまで、そこにあった雑誌を見てると二人が、入って来た。
女性が二人だ。
「ちわぁ」
っとアネゴ肌ぽい娘が。わたしたちに一言。
持って来た洗濯物を洗濯機に入れると、もうひとりの娘が。
「あ、あんたナニあたしの洗濯機に入れてんの」
「いいじゃないですか、ちょっとしかないんですから洗い物。それに安くすみます」
「ああ、じゃ半分出せ」
「マリさん半分は多くない?」
「んじゃ三分の一」
「細かいのなくて」
「ああ、そんなに持っててケチりやがって……ちょっとかせ」
アネゴ肌の方がこっちに来た。
「すいません、細かいの持ってます? くずしてもらえませんか」
こちらには、コシがひくい。
意外とまじめだわ。この人。
「いいけど、万札は無理だよ」
「五千円なんですけど」
鼻をくんくんさせた静ちゃんが。
「あんた、獣臭いねぇたぬき?」
「そういう姐さんは、人じゃないですね」
「ええ、妖怪よ」
「そうですか。あたしはたぬきじゃありません、半妖怪のムジナ娘です。たぬきは人とは子供作れませんよね」
ムジナは作れるんだ?
「はい、千円札五枚。百円玉は、いいのね」
「どうもありがとう姐さん」
頭を下げるとムジナ娘は相棒の娘のトコに。
「マリさんってたぬきだったんですか?!」
「違う、ムジナだ」
「ムジナ? それ何なんです?」
「たぬきみたいなのよ」
「やっぱりタヌキなんですね」
「だ・か・らぁ〜みたいだけど違うんだよ!」
「マリさん、ホントは大っきなキンマタついてるんですか」
「だからたぬきじゃないの。それにあたしはメスだ。キンタマなんかあるか!」
乾燥が終わり、静ちゃんは洗濯機から取り出したショーツを履いた。
つづく




