再会のヒッチハイク
60話 再会のヒッチハイク
安房の国は、いまでいう千葉県南房総市や館山市あたり。松戸からだと千葉市に向かい内房へ。
意外と早く千葉市方面へ行くクルマがつかまり、千葉市の内房に向かう国道でおろしてくれた。
「じゃ気をつけてね」
途中で、コンビニに寄り、飲み物をくれた親切なおばさんだった。
「静ちゃん、見てお茶に」
ペットボトルに紙が貼ってあった。
「渋谷で、見かけたよ。『あしまわり』だって」
「あの人、妖怪だったの? わからなかった」
あしまわり。どんな妖怪なんだろう。
渋谷で百鬼夜行に参加したのねきっと。
国道沿い、南総と書いたダンボール紙を持って歩いてると。
「ハロー! 偶然ね。東京は楽しめた?」
東京へ行く時に乗せてくれた白いルージュの女性が。
「私たち館山に行くの乗りなよ」
「ありがとう!」
「へぇ〜あれからハロウィンまで、居たの。楽しかった?」
「ええ、楽しかった。友だちも沢山出来たし」
「ハロウィンは、仕事でちょこっと川崎の駅前によったけど、あの人混みはヤダねぇ〜」
「この娘、人混み恐怖症なのよ。よく、行楽雑誌の編集やってるわ」
「はい、ソレはお姉さまのおかげです。あと、平日取材だからすいてるので……」
「あなたたち、ハロウィンの日、渋谷に居たんだよね。変な話、聞いたんだけど。私の知り合いの作家で霊感体質の女性がいるんだけどね、彼女が、夜中の渋谷で百鬼夜行見たって、あなたたちは夜中は?」
ドライバーの女性が。
その知り合いの作家さんは深夜丑三つ時まで、居たのね。あの場に。
「ひゃつきなんとかって、なんです。あたしらは九時には宿に」
「百鬼夜行って、妖怪のパレードとでも言いますか、ねっ」
助手席の白いルージュの人はタバコに火を点けながら。
「あっ、コラッまた、車中禁煙って言ったよね。まったくぅ〜。ちょっと寒いけど窓開けるわね」
「妖怪とか、いるわけないじゃん。あのおばさん飲みすぎて幻覚でもみたんじゃないの」
「おばさんって、あんたと同い年よ。あの人」
「ウソッ」
「あの……。妖怪はいますよ」
「え、あんた見たことあんの?」
今、あなたの後ろにふたり。
「地元にはたくさん居ます」
「地元何処?」
「生まれは千葉ですけど、今の家は岩手の遠野に」
「そう言えばまえに乗せた時に、そんなこと言ってたね」
「で、見たの妖怪?」
「河童とか、座敷わらしを子供の頃に」
「そーゆーこと。子供の頃かぁ」
「子供の頃に見えていた物って大人になると見えなくなるのよ。特にあんたみたいなダメな大人は」
「あたしはダメな大人ですか?!」
「良い大人は、クルマの中でタバコは吸いません」
なんだか、ふたりの漫才を見てるみたいで楽しい。ちなみに子供の頃、河童や座敷わらし見たのはウソで、今も見てる。
遠野以外でね。
つづく




