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新たなる旅立ち

59話 新たなる旅立ち


 夜明けに東京を出て、昼前には遠野に帰ってきた。

 やつらはヒッチハイクで帰るそうだが、オレは、行く時と同じ一反姐さんに乗り帰ってきた。


 家に着くなり、電話で原稿の催促が、なんでも巻頭の飛縁魔みずちの原稿が、あぶないらしい。


 飛縁魔みずち。出版社のパーティーで、一度あったが変な女だったな。

 よく見りゃ美人だったが。


 俺もまだ日があると、のんびりしてたが、そろそろ本気出さねばと。

 夕方、陽が沈む頃に机に向った時、また。


〘先生、いつ東京に? ハロウィン見に渋谷へ来てたんですね。今は何処にいるんです?〙


 俺が、渋谷に行ってたのなぜわかった?


「ナニを言ってんだ。俺は遠野に居た」

〘とぼけなくても、いいですよ。夕刊に先生が、写てる写真が載ってましたよ。美女と一緒に〙


 俺は電話の後、コンビニへ夕刊を買いに出た。




 わたしたちは、宿を出て八潮市の岩男さんのトコに。

 お世話になった挨拶をし、たまたま来ていた三郷の泥田坊主という妖怪にクルマで千葉県の松戸まで送ってもらった。


 泥田坊主さんは、元は『泥田坊』の種だったが、「田をかえせ」とか、言ってる時代ではなくなり。

 ある古寺に住み着き、今は住職に。


 千葉県松戸の国道6号線。

 まだ街中で、混んでいる。


「ねぇせっかく千葉に来たんだから、あたしらの故郷にも行ってみようよ」

「下総にまだ、仲間が居ると思う」

「あのヘラ顔姐さんも居るかなぁ?」

「昭和の映画の二面女のモデルになった?」

「そう」

「どんな姐さんなの?」

「実は会ったことないんだ」

「そうなんだ。じゃ行ってみよう下総」


 下総は千葉県の北方だから東京よりだけど、大雑把に下総と書かれた文献に、あの映画のモデルらしい妖怪が出てるらしいけど、アレが本当にわたしの仲間の二面なのかは定かではない。


「大雑把……。実はあたしの出身地もいい加減で本当に下総なのか……。あたし自身忘れたから。なら、そんなの関係なく安房の国へ行こう。ハチ公に会いに」

「ハチ公って八房? アレは……」

「本当に居るよ八房は」


               つづく

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