ハロウィン
51話 ハロウィン
「は~い! おはようさん」
待ち合わせの定番、ハチ公前。
まだ、午前だけど渋谷の駅前には、魔女やらゾンビ、悪魔だのに仮装した姿の連中が、うろうろしている。
電話妖怪の『妻保ケイちゃん』が、魔女帽子に猫耳付けて、いつもよりアイメイク濃いめ。全体的に黒い魔女ネコとでもいうマントを付け手にはホウキの仮装姿で現れた。
「パイセンたちは、普段着?」
「いや、あたしはメイクしてるよ」
と、裏アヤが後ろ髪を吹いてどかし顔を出した。
「わあっ、初めて見た。二面パイセンの裏顔。ゴージャスなメイクね」
「いつもノーメイクなんだけどね。ハロウィン用に知り合いのメイクさんにやってもらったの」
はじめは静ちゃんにやってもらったら、もの凄い般若面になって、裏アヤが怒ったので、お歯黒姐さんに頼んでやり直してもらったんだ。
「二口パイセンは?」
朝ごはん買いに行ったわ。そろそろ。
あっ来た。
両手に袋を下げてる。やっぱり、たくさん買ってきた。多分片手の袋は一人前だろう。あの袋はコンビニじゃなくハンバーガー店のだわ。
「やっぱり来たニャ。おはようニャ~」
「猫っ子。あんた今日はまんまじゃないか」
『猫っ子』は、猫耳少女な顔はまんまだか、体は二足歩行の猫人間。彼女も裏地が赤い黒マントを付けている。二本に別れたシッポの先にリボンが。
「ネコッ久しぶり!」
「あんたは?」
「忘れた? スマホのケイだよ」
「見たことある……。普段はなんだ? けど、あんた、あたしとかぶってるよね」
猫っ子の記憶は曖昧だ。
「お祭りはいいねェ」
人には見えない『ぬっぺっぽう』のカップルが、スクランブル交差点の方へ歩いて行った。
「見た、アヤ。メスのぬっぺっぽうがいたのね。あのシワのような顔に化粧してなかったら区別がつかないよ」
「でも、ハロウィンって、お祭りだっけ」
「日本でいうお盆みたいのじゃなかったっけ。盆祭だよ。そんなの気にしない。大勢集まって騒げればいいんじゃない。て、アレ」
交差点の近くのビルの上に巨大な女の首が。
渋谷の街を見下ろしている。
人には見えてないのだろう。
「去年も多くの妖怪が、人間の仮装にまぎれてハロウィンパレードに参加してたわ。去年は、あのでっかいのいなかったわ」
ケイちゃんが見上げて言った。人の数も今年は多くなると予想が出てた。
「アレは『大首』っていう妖怪よ。彼女は派手な騒ぎは嫌いだから、個人行動が多いのに出てくるなんて珍しい」
静ちゃんは、ハンバーガーを取り出して食べ始めた。何処かの公園で食べる予定だったけど。
まだ、昼前なのに妖怪たちが見え始めた。
ハロウィンパレードには、どれだけ集まるんだろう。妖怪映画の様に沢山の妖怪たちが集まる様子が頭に浮かんだ。
百鬼夜行になったりしないかなぁ。
「おねえさんたちまだ、東京に」
「かめら小僧じゃない。またイヤらしい写真撮りに来たの?」
「ハイ、ここではコスの露出度の制限ないですから。ニュースでは、やれない裸踊りも見れますって、違います! ボクは、かわいい娘の写真を。そこの猫ちゃんたち、いいですねぇ~ハイポーズ」
早速撮影を始めた『かめら小僧』だ。
ケイちゃんや猫っ子は、見えてるからいいが、彼も妖怪なんで見えない妖怪連中も見える。
カメラも妖怪なんで、物の怪たちも写る。
ギャル風魔女猫と猫耳少女は、嬉し気にポーズを決めた。
「あんたたち通行人の邪魔よ」
「えっ、キミはオニ娘の『七頭ミサキちゃん』だよね」
突然現れたピンクの婦人警官のようで、そうでない格好の娘五人組。
「『オニ娘42』なの、この娘たち?」
「今日は全員素顔ですね。七頭ちゃんで、すぐにわかりました」
「今日は、わたしらはパレードの警護に来たの。悪さしたら即、地獄行きよ」
「人間も?」
「人は人に任せる。わたしたちは物の怪専門。夜には別働隊も来るわ」
妖怪たちまで、ハロウィンの夜は、警戒している。ホント、夜はどうなるのかしら。
つづく




