巣鴨
39話 巣鴨
巣鴨。
なんでもおばあちゃんの原宿とか、呼ばれた頃も。老人が多い街だ。
意外と美味しい物があると静ちゃんの選択だ。
和洋中なんでもある。ランチは迷わず美味しい店に全部入る。
今更ながら食べる量は凄い。
美味しい物を見つける能力もすぐれていて、いくら有名店でも、口に合わないと、近くにある寂れた老舗店へ行く。
有名店なんかより美味しいと喜ぶ静ちゃん。
後ろの口を使わなくても入る、入る。
テレビの大食い大会に出れば間違いなく優勝だ。
持ち帰り用のお弁当は、宿で後ろの口が。
「あ、お地蔵さんが、歩いてる!」
「わしは、地蔵ではないわ」
って、怒られた。
「まあこの頭だと、よく言われるが、わしは巣鴨婆と呼ばれてる妖怪じゃ」
怒られたので怖い妖怪かと思ったら、つるっとした頭をなでながら巣鴨婆はニコやかに自己紹介した。
「三河島婆知っとるか?」
「いいえ」
「あたし知ってる。会ったコトないけど」
「三河島は、わしの姉だ。わしは土地神様に頼まれて、この巣鴨の街を見守ってるんじゃ。わしが見えるあんたらみたいのが、わしを地蔵尊の化身と勘違いしてのぉ手を合わせるヤツもおる。妖怪に手を合わせるとはのぉふぉほほほ。気持ちが良いのじゃ」
「土地神として、祀られているサイタマの姉妹がいたよね」
「カワゴエ、コシガヤ姉妹だろ」
「あんたら、あの姉妹を知ってるのか?」
「知ってるよ。その神社を立てたヤツも」
「そうかい。あの姉妹は友だちだよ。年に一回は遊びに行くよ。あんたはなんだい?」
「二口だよ。今度行ったら、よろしく言っといてちょうだい」
「二口かい。わかった。そちらは?」
「あ、わたしはその姉妹とはまったく。二面の綾といいます」
「妖怪だって、神様になれるのね」
「そんなに珍しいコトじゃないよアヤ。キツネなんかお稲荷さんだ。タヌキが一番悔しがってるトコだし。幽霊や怨霊だって神社が沢山ある。なにか人間に影響与えればいいのよ」
「静ちゃんを祀った大食い神社とか出来たら面白いよね」
「違うよアヤ、底なし神社だケッケケケケ」
「引っ込め、醜女! アヤ、二口神社の方がいいよ。だけどソコなんのご利益があんのよ」
「フードファイターが大会前にお詣り来るんじゃないかな」
「あと、食いパグれないとか。ケッケッケッ」
「面白そうね、岩男に頼んで造ってもらおう」
つづく




