闇の人
37話 闇の人
行くかどうか迷った。調布の深大寺。
静ちゃん的には蕎麦が。
そして妖怪大漫画家先生のおひざもと。
大先生が、メジャーにした妖怪や新たに生み出した妖怪は、数知れず。
大先生の故郷、境港とまではいかないが、妖怪といえば東京では、ココに行くべしな場所。
でも、ココには妖怪が居るわけではない。
蕎麦は有名だけど、妖怪菓子や妖怪スィーツも。妖怪が妖怪スィーツを食べる時代が来ようとは。
「パパ、ヨーカイって居るの?」
妖怪ファンの親子が、着ぐるみ妖怪と写真を撮っていた。
「居るんだけど、妖怪は見えないんだよ。見えるのは特別な力を持った人なんだ」
「この妖怪さんが、見えるわたしは特別な力があるのね」
「ココの妖怪さんはね、お仕事だから誰にでも見えるんだよ」
「そうなの」
「あのお父さん、なかなかね」
「中に人が入ってるとか、言ったら夢がないからね。夢の国のミッキー・ネズミとかと一緒ね」
「パパ、あの目玉ケーキとヌリカべケーキ食べたい!」
「子泣き饅頭は、いいが砂かけ最中はまずそうだな。一反木綿そば……きしめんより、平たくデカい」
「あたしは普通の蕎麦がいいや」
と、静ちゃんが三件目の店に入る。
わたしは、さすがに二杯まで。
なにか軽いものはないかとメニューを見て、砂かけ団子。う、ジャリジャリしてそうでまずそう。
白玉で作った目玉ぜんざいにしようかな。
「岩男さん!?」
静ちゃんが、隣の席に居た客に。
「岩お・と・こ……いや私は。あんたら本物だね」
「あ、ごめんなさい。間違えました」
男は坊主頭で四角い顔、サイタマで会った岩男さんに似てなくもないが、わたしらを妖怪と見ぬいたこの人も妖怪?
「岩男とは、私に似てるのかい。会ってみたいな。ココに来れば本物に会えるかと思ったがホントに居たな。東京にはもう本物が居ないと思っていた」
「あの、あなたは?」
「私は『闇の人』とか、呼ばれているこの世界の住人です」
「闇の人って? それはマレビトとかとは違うの」
「マレビト? は、知りませんが。本来我々は顔がないのです。顔を得るのには普通の人間のぬけがら、魂のない体に憑依するかたちで顔を得ます。この体は山で亡くなった修行僧仲間のものなんです。今はその男として生活してます」
「なりすまし!」
「大きな声は。人間でないあなた方にだから話すんですから」
マレビトやら闇の人とか、この世界には、人間以外、いや人間や妖怪以外にも妙なのが居るんだなと今回の旅で知った。
「あの……妖怪は、東京に沢山居ますよ。妖気を消してるんです」
闇の人は、そばを食べ終えるとニコやかに店を出た。
なにか楽しいコトでもあったのかしら。
「ねえ闇の人って、ナニかしら妖怪とは、違うみたいだけど。マレビトもそうだけど、まだまだあたしたちが知らないのが居るのね。今度は宇宙人に会いたいわね」
「宇宙人って、居るのかなぁ」
「妖怪が言うセリフじゃないわよソレ」
つづく
注・深大寺蕎麦以外は架空の物で、実在の物とは無関係です。




