歩行者天国
35話 歩行者天国
《コレは去年の渋谷の映像です。ハロウィンは、今は日本でも、欠かせないイベントの一つになりましたが、アメリカ等とは、少し違うモノになってます》
そういえば町の雑貨店にもハロウィングッズ並んでたな。
映画とかで見た子供がお化けの格好をして各家で「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ」とか言ってまわるのとは違い日本じゃコスプレの日みたいになっている。
去年の渋谷の映像って、コスプレした、連中が騒ぎまわっていた映像が、流れていた。
《今年も渋谷、原宿界わいが去年以上に……》
おおっ、アレは。
今年の渋谷の映像に静と彩が映ってた。
あいつら東京に居るのか!
ハロウィンのパレードにでも参加するつもりか?
それが終わると帰って来るのか? それとも他の地へ。
なんだか、オレも渋谷のハロウィンに行きたくなった。
しかし、東京へ行ったばかりだ。あまり資金がない。
さて、どうしょう。彼女たちに会いたい。
トントンと窓ガラスを叩く音がした。
って、ここは二階だぞ。鳥か、なんかか?
窓を開けてみた。
「うわぁ!」
生首が浮いていた。
秋葉原の歩行者天国の真ん中で、かめら小僧が、メイドさんの撮影をしているのをソフトクリームを食べながら見ていて。
「ここも、おのぼりさんツアーの妖怪が、多い」
「昨夜のライブに来ていた連中よね。妖怪世界にもオタクって、居るんだね。でも、オタクって、新しい文化だよね」
「昔は○○マニアとか、もっと前には○○キチ○イとか言われてた」
「釣りキチとかも、そうね」
「時代と呼び方が違うだけだよ昔から、いたんだよ同じような連中。ホラ、歌舞伎役者の浮世絵集めていたのや、歌舞伎役者の人形なんか、今のフィギュアよ。ね、同じでしょ」
「あっちで、踊ってるの鬼娘よね」
和服の五人組が、面を付けたまま能ダンスを踊ってる。
周りにはカメラ小僧たちが、群がっているが、アレは半分は妖怪だ。
地元のカメラ小僧ではないのは妖気でわかる。
「人間には、見えてないのも混ざってるね」
「やっぱりぃ。あの毛むくじゃらのや河童、二本足で立った猫やタヌキのケモノ類は見えてないよね。わたし仮装でバレてないのかと」
「あたしも、はじめは……」
「人間どもは、くだらぬモノに興味深いのだなぁ」
「あなたが食にうるさいのと同じですよ」
わたしと静ちゃんの会話のようなのが聞こえた。
前を行くのは中学生くらいの少年と大きな犬。
「妖怪の臭いが、そこら中に漂ってる奴らも好きだのう」
「妖怪も人と同じというコトですよ。ねっ」
っと、少年はわたしたちを見て微笑んだ。
犬の方は、もの凄い妖気を放ってるが、少年は、人間?
「もしかして、犬神?」
「そうだが、あんたらは?」
「犬神さんほどでは、ないですけど、ちょっとは名の知れたもので……」
「わしを知っているお主は、なんだ?」
「犬神さんは、メジャーな妖怪ですよ。けど、あなたの方が有名なのでは」
少年が言うから。
「いやいや、犬神さんの方が」
「名のるがいい」
「はあ、あたしは二口の静と。こっちは二面のアヤ」
「二口さんに二面さんですか。ホラ、お二人さんは有名です」
「静ちゃんは、ともかく。わたしは百鬼夜行全書とか妖怪本にめったに載ってません。有名ではありません」
「まあ、まだ中坊のこやつが知ってるなら少しは名の知れた存在なんだろう。二面よ」
と、犬が、笑った。犬神でも、人間じゃなく犬の姿でいるんだ。
「二面女、わしは人間の姿が嫌いなんだよ」
わっ、心をよまれた?
「犬神さんは、なぜ中坊と、あ失礼、中学生と一緒に?」
「ボクの家系は妖怪と組んでいろいろとやってきたんです。でも、時代が変わり」
「だから、ペットになったのではないぞ。犬はこうしないと外を歩けないから、つながれてるんだな。江戸時代が懐かしい」
「大事にされた時代がありましたよね。今も犬や猫は家族として、けっこう守られてますよ」
「なら、なんで犬は外出時はつながれないといけないのだ」
「その点、猫は自由ニャ」
話を聞いていたのか突然現れたのは猫耳少女。
「猫娘か。相変わらず小生意気だ」
「違うわよ。あたしはネコマタ婆さんの孫で猫っ子よ」
「猫娘とどう違う? 猫っ子だと、ガキめ」
「まあ、猫耳が、可愛い。猫娘とは、やはり違う可愛いさだわ。あの猫娘は、いつまで刈り上げしてるのかしら。あのヘアースタイルは流行らないわよね」
「お姉さん、わかってるじゃない。東京は面白いから楽しんでいって!」
と、行ってしまった。
「気まぐれね、やっぱ猫だわ」
「わたしたち地方から来たのバレてたね」
「あっちは地元だから妖気がなかった」
「うむ、人間の中に住んでると妖気が薄まるのはたしかだ。わしも」
「犬神さんは妖気ばんばんに出てましたよ」
「あはははは」
少年が笑った。
つづく




