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出た!

33話 出た!


「おじさん、一人?」

「ああ、今はな。去年離婚したんだ」

「そういう意味じゃないんだけど。おじさん、二枚で、あたしと遊ばない?」

「悪いんだけど、俺は仕事中だし。子供には興味ないんだ。他あたってくれ」

「子供? あたし、子供に見える?」

「二十歳以下は子供だろ。俺は大学生だって、子供だと……。たとえ二十歳こえてても、親のスネかじってるようなのはまだ、子供だ」

「じゃあたしは大人よ。親いないからスネかじりようがないもん。それにあたし、こう見えて百歳こえてるの」

「面白くない冗談言う子だな。百歳こえてるって、妖怪かキミは?」

「あたしが妖怪だったら遊んでくれる?」

「妖怪でも、見た目が子供だ。俺は若くて四十代、還暦程度までの熟女が趣味なんだ」


  ブリュルルル


「あ、ゴメン」


《副編集長ぉ何処です。タバコ買いに何処までいったんです?》


「ああ、今帰るとこだ」


「ふーん編集長なんだ」

「聞こえたのか?」

「あたし、電話の声がよく聞こえるの」

「そうか。副が付く編集長だが。俺はコレを幸福の『福』だと思っている。副編になってからいい事が続くんだ。キミに誘われた事もいい事に入れとくよまたな。あ、水道橋なんかでナンパしてもろくなのいないぞ妖怪くん。じゃあな」

「ナンパじゃないよ!」


 水道橋まで、来てしまった。もう少し先まで行って大学生とでも遊ぶかな。

 だと女子高生より、女子大生の方がいいかなぁ。



 某出版社。


「外で妖怪にナンパされたぞ」

「どんな妖怪でした、副編集長?」

「今時の女子高生のかっこうをしていた。チェックのミニ履いた茶髪の娘だった。自分は百歳以上だと、その姿で言っていた」


「大島さん、女子高校生にからかわれたんじゃないんですか」

「そうですよ。でも、渋谷、原宿ならともかく、飯田橋付近で中年オヤジをナンパするなんて変な女子高生ですね」

「案外本当に妖怪だったりして。美少女でした? 尻尾とか、ありませんでした?」

「美少女だった……ぞ。尻尾? 高田、タヌキやキツネだというのか」

「まあ妖怪より居そうじゃないですかぁ」

「多摩や八王子じゃあるまいし」

「しかし、副編集長は美少女の女子高生かぁ。マカ先生も美女の妖怪と。どうしたら会えるんですぅ副編集長ぉ」

「知るか、おまえもダバコ買ってこい! 妖怪女子高生がまだ、その辺に居るかもな」


「ハイ。腹減ったんでコンビニ行ってきま〜す」

「高田くん、フルーツサンドお願い」

「あ、わたし明太おにぎり!」

「じゃ俺もサケのにぎり!」


 よけいな事言うんじゃなかった。パシリにされた。

 4時過ぎ、もう暗くなってきた。黄昏時だ。沈む夕陽がまぶしい。

 その中に人が立っていた。こっちに歩いて来る。シルエットが異様だ。


 侍?! そいつはボクの横を通り過ぎて行った。

 ひいっ。骸骨の落ち武者だった。

 

「あんた、今の見たよね」


 振り返るとそこにチェックのスカートを履いた女子高生が。副編集長が見た妖怪?!


「アレは歩き回ってるだけだから無害だよ」

「今の見えたなんて霊感あるの?」

「いや、特に」


 その女子高生は、しげしげとボクを見回して。


「あんた最近、百物語したでしょう?」

「キミも妖怪?」

「ええ、あたしは電話妖怪の妻保圭(つまほけい)よ。おにいさん、あたしと遊ばない」


 えっ、妖怪と、遊ぶって。楽しんでいるうちに精気を吸い取られるんだきっと。

 ヤバい。取り憑かれる前に逃げないと。


 ボクはダッシュで。社に戻った。唐沢さんも見たと副編集長も、一条さんはどうなんだ。やっぱり百物語のたたりか? 


「で、出ました! 副編集長」


「ああ、何が出たって」

「高田くん、フルーツサンド?」

「おにぎりは?」


「ぎゃあああ、みんなのっぺらぼうだぁ!」


               つづく

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