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都会派妖怪

31話 都会派妖怪


「平日でも、ここは人多いよね」

「観光地だからねぇ」


 浅草。大きな提灯の前で外国人が、写真を撮ってる。

 いままで行った東京内で、外国人の観光客が一番多い。

 あたしたちみたいな一見、若い女性グループとかもけっこういる。

 新しいトコも目立つが古さも感じる街だ。


  ドンゴロゴロ


 と、鬼が背に旗を立てて太鼓を叩いて歩いてる。


「雷おこしって旗に書いてある」

「でも、あれって人間だよね」

「妖気がないのは、ココの妖怪だけど。アレ、安モノメイクの鬼だよ。人間ね。鬼ってプライド高いから、あんな仕事はしないよ」

 

 鬼の後に楽器を演奏する江戸時代のかっこうをした人が三人。


「あれがチンドン屋って、いうのか。鬼も仲間だ」


 お昼ごはんを食べた後、歩いていると路地で休んでるあのチンドン屋さんたちが居た。


 鬼以外は女性だった。

 中年のぽっちゃり女性はアコーディオン。

 若い二人は、三味線とクラリネット。

 太鼓と鐘をたたいてた鬼さんは少し離れたトコでペットボトルのお茶を。


 わたしたちに気づいた中年のオバさんが。


「お嬢さんたち、観光だろ。どっから来たの?」


「岩手から」

「東北かい。あっちはもう寒いだろうねぇ」


 晴天の今日は暖かくチンドン屋のおばさんは汗をかいたので化粧なおしをはじめた。


「岩手かぁ〜もしかして遠野?」

「はい」


 岩手で遠野って、あまり聞かないんじゃ。


「猿ケ石川に居た河童はもう居ないんだろ」


 三味線を持った女性が近づいて、そう行った。


「カッパはもうぜんぜん」


 と、静ちゃんがこたえた。


「わかるよ、あんたたち妖怪だろ。ウチのトコ三人は妖怪だ。『座敷かなで』っていう座敷わらしの仲間でね」

「座敷わらしも居ないよ」

「とうとう座敷わらしもかい。まあウチらも出た口だからね。あんたたちも出たのかい。東北の妖怪ぽくっないねぇ」

「あたしらは観光だから帰ります。昔は関東に居たんだよ。まだ、カッパも座敷わらしも居た頃に遠野に移住したんだ」


「ウチらと入れちがいだったのかね。あんたたち初めて見るもんねぇ」


 やはり鬼のおじさんは人間で、女性が『座敷かなで』の三姉妹妖怪ということだ。


「意外に遠野より東京の方が妖怪多いんじゃない」

「そうだねぇ山妖怪は、ともかく人の中で楽しむ妖怪はこっちの方がいいのかもね」

「あたしらは、どっちかというと都会派だよね」


 田舎の目立たない家族に居た方がいい静ちゃんなんだけど。食べ物の魅力に気づいた静ちゃん。

 ホントは美味しい物が、揃ってる都会の方がいいのだろう。

 人を驚かして楽しんでた系のわたしの方が実は都会派なんだけど。だんだん人里から離れていったわたし。


「ハーイ、あんたたち妖怪でしょ」


 今度は女子高校生に声をかけられた。


               つづく 

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