飼い猫フータ
30話 飼い猫フータ
わたしは猫が好き。百物語でも、化け猫の話をしてしまうくらいだ。
飼い猫はフータっていう。
餌をあげようと皿を持って来たら見あたらない。何処に行ったやら。
ビンポォーン
あ、来た。
「遅いよ、高田くん」
「すいません。コレ、買ってたもので」
「その、箱はパルファンの」
「プリンケーキです。並んでたら遅れちゃいました。でも、コレ並んで買う価値ありますよ」
実は今日、高田くんと映画デートの約束をしていたのだが。ちょっとわたしがドジって。自転車通勤途中転んで骨折してしまった。
デートはわたしの自宅マンションに。
ちょっとは名の知れた出版社で、同じ雑誌のスタッフになったのがきっかけで付き合っている。
「それ、この前にわたしが言ってたから、並んで買ってくれたんだ」
「いやいや、唐沢さんの話聞いてボクも食べたかったから」
「プリンは食後にね。お昼、まだでしょ。カレー作って待ってたのよ。食べましょ」
「いただきます。唐沢さんのカレー楽しみだなぁ」
「座って待ってて今、温めるから」
「足、大丈夫ですか? 手伝いますか」
「家だから大丈夫よ」
「そうですか。おお、ネコグッズ増えましたね。あ、コレお台場で買ったネコブタの貯金箱」
「ネコブタはないでしょ。たんに太ったネコよ」
「でもコレ、ブタの貯金箱のネコバージョンじゃないですか。でも、面白いですよね。瀬戸物や人型動物型でも、みんな貯金箱っていいますよね箱ではないですよコレ」
「コイン入れが付いてればみな、貯金箱って言うわね。貯金人形とか貯金物とか言わないわね」
「本棚の妖怪本も増えましたね」
「そうそう、こないだお台場で、見た」
「一反姐さんですか」
「そうアレって、わたしが買ったどの本にも載ってないのよ。あの人、どこで知ったのかしら」
「もしかしたら、その地方独特の妖怪とか」
「そうかな、それならあの妖怪、東京で見ることはないんじゃ」
「一反もめんや子泣きじじぃとか、東京にいるじゃないですか」
「あれは漫画よ」
「そうですね。アハハ」
炊きたてのご飯に自家製のカレーをかけ、テーブルに。
テーブルの下の皿を見るが食べてない。フータはやっぱ居ないのかな?
「美味しそう」
「そう……じゃなく美味しいわよ。ねえ〜フータ見てない?」
「フータ? ああ、ネコの」
「餌減ってないから居ないみたいね。ちょっと後ろのベランダ見てくれる」
「居ませんよー!」
「あ、こっちの窓から戻って来た。ホラお昼ごはんだよフータ」
「このマンションはネコ飼えるんですね。ボクのトコ、アパートなんだけど飼えないんですよ」
「実はココもダメなのよ。フータは、ある日窓から入ってきてね。それから餌あげてるうちに棲み着いちゃって」
「窓から……。唐沢さん。ココ13階ですよね!」
「あ、そうだ……」
つづく




