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飛頭蛮

29話 飛頭蛮


「さっきの二人は?」

「知らない人。あ、あそこでスゴイの見たのよ高田くん」

「スゴイの?」

「一反姐さん」

「なんです。それ?」

「一反木綿みたいので人面付の妖怪?」

「人面一反?」

「違うわ。それじゃ人面が一反あるみたいじゃない。女の頭に長い髪が、一反くらいあって飛んでたのよ」

「ソレは『飛頭蛮』って、奴じゃ」

「飛頭蛮はろくろ首よ、高田くん」

「ろくろ首っ。飛頭蛮って別の妖怪じゃないんですか唐沢さん」

「詳しくは知らないけど、首が伸びるだけじゃなく、離れて頭だけ飛んで行くろくろ首もいるからじゃない。なんでもろくろ首って中国とか、アジア方面の頭が飛ぶ女の妖怪がルーツとかいう説もあるわ」

「なるほどそれで飛頭蛮ねぇ」

「飛頭蛮って、タイあたりの首が抜けて内臓たらして飛ぶ女妖怪もたしか。ああ、大分話しがそれたわ。さっき会った女性が妖怪研究家で、教えてくれたのアレは一反姐さんだって」

「綺麗な人でしたよね」

「そうね。名前とか聞いとけば良かった」

「まだ、居るんじゃないですか。戻ってみます?」


 同僚の高田くんと戻ったが、二人は居なかった。



「あんたら、少し太ったんじゃない?」

「そうねぇ毎日美味しい物食べ歩いてるからね」

「なら、私に乗らないで歩いて帰った方が」

「歩いたらまた、お腹減って食べちゃうじゃない」


 わたしたちが、あまり帰らないので様子を見に来たという一反姐さんに宿まで乗せてもらっている。

 飛ぶことが出来ないわたしらの東京遊覧飛行だ。


「姐さん、わかるでしょ。妖怪のあたしらは、ひと月もすれば体重が戻るから食太りは気にしなの。でもさぁ東京で会った『寝肥』という女妖怪は、可哀想ね。寝ると、もの凄く肥るんだって」

「寝肥り。ソレは難儀な妖怪ね」


               つづく

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