百物語
27話 百物語
雑誌幻想文学エンタ。スタッフのひとり一条早苗さんが三十歳の誕生日。
なので、一条さんのマンションの部屋にボクと唐沢さん、副編集長の大島さんが集まった。
唐沢さんが、買ってきたバースディケーキにロウソクを立てていた時。主役の一条さんが。
「ロウソクって、なかなか立てる事ないからさ、百物語風に怖い話しして消していかない」
一条さんはロウソクを三十本立てて火を点け照明を消した。
自分のバースデーに百物語って、大丈夫なんですか一条さん。
「ハイ、高田くん一番ね。終わったらわたしが一本づつロウソク吹き消すよ」
はあ。いきなり怪談大会。本人がいいならと。友人から聞いた、知人が話してくれたというネタを一つ。
「ある路地から現れる布団男の話しを……」
し終えて。
「いかにもな、作り話ね。じゃフッ!」
「次、あたしいくね」
唐沢さんが、化け猫の怪異話をした。
「次はオレね去年友人の部屋であったんだ」
副編集長の大島さんは、霊感が強く霊ネタの怖い話をよくする人だからマジ怖い話。
「……と、いう友人の部屋に住みつく押入れ女の話。おそまつ」
「大島さんのネタのわりにウソっぽい話ねフッ!」
「ホントの話だ! 今でも女は押入れに裸で寝てる。友人は、たまると押し入れ開けて寝ている女でシコるんだと」
ウソっぽいうえにエロ入ってるよ副編集長。
と、二十話をこえ、最後の三十話目を一条さんが。
「眠れなくて、深夜の散歩に出た夜、犬を連れたジャージ姿の中年のおじさんが歩いて来るのに出くわしたの深夜、2時代だったわ。こんな時間に犬の散歩って、と思ったわ。おそくない? 仕事の関係とかでありえない事でもないけどね、犬はよく見えなかったけどけっこう大きいかった、白っぽくて頭の方は黒かった。長い毛だなぁと、よく奇抜なカットした犬見るからそういうのかなと。で、徐々に近づいて来て、飼い主の中年オヤジが、わたしをじっと見るのよ。深夜の女の一人歩き、犬でもけしかけられたら怖いと反対側の歩道に移ろうとした時、顔が。犬が顔を上げたの。人面! 犬の顔は、女で人間の顔そのものだったの、おまけに口には玉みたいなの入れられて声を出せないように。わたし人面犬を見た恐怖で走ってマンションに戻ったわ。余計眠れずに朝までおきてた。以上。フッ!」
部屋は真っ暗になった。百物語形式だが百も話してない。
怪異なんて起こるはずもない。照明がついた。
「な〜にも起こらなかったね。百物語なんて初めてで、ドキドキしてたんだけど」
一条さんはロウソクを取り、ケーキを切り分けて皆に配った。
「一条の人面犬の話なんだけどさ、その話、オレも聞いたことあってさ。それって、あるSMマニアが、女を裸にして首輪をはめ犬の様に深夜散歩させるプレイじゃないかという話だ。都市伝説なんて、こんなオチがある」
「副編集、SMプレイって……」
「玉の猿ぐつわだ。ソレはSMだよ」
なんだかなあ~副編集長らしい解釈が出た。
「ソレ、ホントですか?! 言われてみれば犬の歩き方が変だったわ」
つづく




