おかっぱ頭
23話 おかっぱ頭
青山へ。
静ちゃんが、他の美味しいグルメに目移りして、忘れていたモンブランを食べに。
季節がら栗だけじゃなくお芋もプラスした、上等のモンブランにありつけて満足。
オシャレな街だけあって、出来るだけ都会風の服を選んできたつもりだったが、やっぱりダサいはね、わたしたちのファッション。
でも、食を優先して、ファッションは見るだけに。ウィンドウをのぞくだけ。
二人で値段見て、静ちゃんは即、食べ物の値段に。換算する。
「このジャケットで、本格お寿司いけるわ。回ってないやつ。お寿司と言えば海、海鮮も食べたいわね。築地でも。あ、豊洲に引っ越したんだっけ」
「見て、あの子。わたしたちみたいにウィンドウを覗きながら歩いてる」
子供なのかどうか、あやしい。おかっぱ頭の背の低い子。彼女の服装は和服だ。
「妖怪だよね?」
「そんな感じね。あたしは知らない妖怪ね」
「わたしたちもそうだけど、ただ覗くだけで買わないのよね。アレ、ショウケラ?」
「ショウケラは、屋根の上じゃない。しかも、あんな可愛い妖怪じゃないわ」
「あ」
向こうもこっちに気づいたようだ。
こっちを見ておじぎをした。
「あ、思い出した。あんた大禿ね」
「うなずいたわ。おおかむろって、女の子みたいな男の子だよね」
「オシャレなオカマ妖怪。可愛気のないオカマ妖怪『どんだけ』とは大分違うわね」
「妖怪どんだけって?」
「アレは、元は人間なの」
「ああ、『妖怪みきてぃ』と同じね」
「向こうから歩いてくるおかっぱ頭で和服の子。大禿の仲間かしら?」
「いや、アレは座敷わらしだよ静ちゃん。なぜ、こんなトコに?」
「おーい。座敷わらしぃ」
「二口と二面?」
「あんたたちも、遠野を出たの?」
「出たけど観光だよ、もうすぐ帰るのよ。座敷わらしは、なんで東京に?」
「お茶でも飲みながらゆっくり話そう。お茶代出して」
「お茶くらいならかまわないけど……」
座敷わらしは、カフェに入った。
ねぇおごるんだから、店はこっちに決めさせて欲しいな。
高そうな店だ。
「ミラクル・モンブランパフェ」
「ソレ、三つね」
座敷わらし。注文にも、遠慮ない。
お茶じゃなかった?
「あたし、座敷わらしをやめて『住みつき娘』になったんだ」
「住みつき娘?」
わたしたちは声を揃えて言った。
「住みつき女とかじゃなく?」
と、静ちゃんが。
「『女』って、中年みたいでしょ」
わたしたちは中年。いや、そんなもんじゃないけど。人間なら、老年超えてる。
彼女もいつまでもわらしじゃイヤなんだ。
「最近空き家多くて住むとこには困らないの。でも、事故物件ってゆーのがあって時々邪悪なのが住んでるのよね。この前、地縛婆とケンカしちゃたよ」
「事故物件ね。怖いわね。で、今は?」
「どうせだからオシャレな街に住んじゃえと思って青山に。白金とか考えたけど……。やっぱり庶民的なこっちに」
「あたしは住もうと思わないけど世田谷とかは?」
「なんか、らしくないなぁと」
こっちでも同じじゃない。座敷わらしの住むトコじゃないよ。
関東なら、まだ、房総をすすめるけどな。
都会が、いいのか。
「遠野のあたしの住んでた家は?」
「子供の浮遊霊が住みついてる。まだまだ、沢山テレビの取材が来てるよ」
「なんにもご利益ないのに?」
「今の人間はそんなの信じてないんだよ」
「座敷わらしのありがたみを知らないのね」
「あんたが、いなくなるからよ」
つづく」




