おわりの百物語
100話 おわりの百物語
夏も終わる残暑厳しい頃、映画「新・妖異百物語」が公開された。
それなりに話題になり、主演をした俳優さんたちも沢山テレビに出て番宣した。
ハイライトになった。ラストの百鬼夜行シーンは盛り上がった。
ほぼ東京中の妖怪が参加した。
その異様ともいえる映像に本物がたくさん出てるとSNSでバズった。
おかげで映画は大ヒット。
「足洗、良かったな。ここまであたると正直思ってなかったよ」
「カルトになればいいかな程度だった。柳田も喜んでる。それに、このあいだ映画を見たというぬらりひょんが、ハロウィン以上に盛り上がってた映像だと絶賛してた。山ン本や神野が悔しがってるのが見えるようだ」
「柳田君に朗報だ。パート2も続投してもらいたいと。それから、足洗。次はホンをおまえが書け」
わたしたちは初日にマカさんのレンタカーで盛岡まで観に行った。
何処で知ったのか、シネコンの支配人が、静ちゃんのトコに来て、舞台挨拶を頼んだ。
出演女優の舞台挨拶と急なイベントに場内が湧いた。
「まさか素人のあたしに舞台挨拶なんて」
なんていやいや風に舞台から降りた静ちゃんは、挨拶の最後に後ろ向いて口をさらけ出し、髪を上げ振ったりしてた。
ほんとはノリノリだった。
飛縁魔邸。
「見ましたよ、先生。百鬼夜行で美人姉妹がジャージ姿で踊るの。赤ハンテンの妹さん、先生におとらぬ美人で」
「そう。妹で何回ぬいたの? 私より多い?」
「なんの話ですか」
「まあ双子だから顔は同じだったでしょ」
「一つ気になったのは、妖怪でもない先生たちがなんで百鬼夜行に? ハロウィンの時は加わらなかったと」
「ああ、それ。妹につきあっただけよ」
「それじゃ妹さんは妖怪なんですか?」
「そう妖怪飛縁魔ひづる」
「………」
秋葉原歩行者天国道上。
「ハロウィンも楽しかったけど、映画はもっと楽しかったニャ」
「ああ、あの偉そうなのが居なかったしな。それに馴染みの連中も多かったし。二口姉さんたちにも再会出来たしな」
オニ娘カンパニー事務所。
「マネージャー。ヒットしてるのに出演料はやっぱり出ないんですかぁ」
「出ないわ。はじめからノーギャラでの出演だから」
「しかもモブ妖怪だものね」
「続編、あるらしいと聞いたよ。今度はワン・エピソードもらおう」
遠野には雪が。
「おお寒い。なんで暖房つけないんだ」
お茶の間に見知らぬ美女が。
「あ、マカさんおかえり。友だち紹介するよ」
美女はペコリと頭を下げたので、俺はあわてて正座して頭を下げた。
「ご丁寧にどうも。私、雪女の白山魅雪と申します」
雪女……。
ウチに来る妖怪は美女ばかりで、惚れてしまうだろ! ふぇーくしょん。
ふたり例外が居た。
おわり
☆百話、一気に読んで妖異にあったら一報下さい。何も出ませんけどね☆