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六十話 戦闘準備

 シュラハト城内の会議室で少し待っていると、ドアが開いた。

 私以外の冥土隊の面々は帝国軍が来たのかと身構えていたけど、私はマナで十中八九違うと感じていた。


 入って来たのは白髪短髪の軍服らしきものを来たおじさんと、その護衛の武装した騎士達だ。


「グロリアス国王、お待ちしておりましたぞ」


「おぉ、パーチェ大公殿。此度の会談の場を設けて頂き、仲介までして頂けるとは、感謝致す」


「いやはや、私に出来ることは物資の援助やこんなことしかない故」


 どうやら、大公様がアンゴワス公国で一番偉い人みたい。

 何か偉い人ってマナ量とは違って、気品があるから妙なオーラを纏ってるんだよなー。

 国王様も大公様も強くなさそうなのに、気圧されちゃうや。


 国王様と大公様が私には分からない大事な話をする中、公国の騎士が一人会議室へと入室し、大公様に向かって跪く。


「パーチェ大公様、アルプトラウム帝国の方々が到着致しました」


 騎士がそう告げた時、先ほどまで温和な空気だった会議室の空気が引き締まった。

 私達冥土隊だけじゃない。

 国王様や大公様からも緊張感と警戒心を感じる。


【探魔】


 私は【探魔】を使い周囲のマナを感じる。

 城内だったため【探魔】はかなりの人数を探知したが、私は見知った二人のマナだけは見逃さなかった。


「……皆、アッシュとカニバルがいるよ」


「わかったわ……」


 ルーナは覚悟を決めた様子で、深呼吸をする。

 ブレアとエマも目付きが明らかに変わった。

 ロランだけはわくわくする子供のように微笑んでいた。


 ポワンは――いない。

 不幸中の幸いとも言えるだろう。

 ポワンがいたら、何人束になろうとも敵いはしないのだから。


 しばらくして、帝国の皇帝と護衛の五人が会議室へと入室してくる。

 銀髪の皇帝からは異様な威圧感を感じた。

 傍目でわかる……四帝級の強さだ。

 こっちの国王様は強くないから比較にもなんないや。


「どうぞ、こちらへ」


 帝国の皇帝と私と同じ位の銀髪の子が公国の騎士に導かれ、国王と宰相さんと対面するように長いテーブルに座り、護衛のアッシュ達は後ろに立って並ぶ。

 護衛同士対面する形だ。


 帝国の護衛はアッシュとカニバル、後はリユニオンで見たことがある気がする人が二人と、知らない顔色の悪いスキンヘッドの男の人が一人。

 目に見えている数は、の話だけど。


「目に見えるのは五人だけど、一人隠れているよ」


「リユニオンの時の透明になるヤツかい?」


「だね、何かギョロっろした目の」


 私は私達にしか聞こえない程度の小声で情報を皆に伝えると、エマが察してくれた。


「あの紫色の髪の女は髪の毛を操る魔法を使うわ」


「おかっぱ頭の坊やは触れた相手の魔法をコピーしてくるよ、気を付けな」


「ちぇっ、どいつもこいつも雑魚い魔法じゃねぇか」


「もう一人の顔色の悪い人は見たことない人だ」


 小声で情報を共有していく私達。

 そんな私達にロランは指示を出す。


「どうやら向こうも戦闘準備をしてきてるみたいだね。ヒメナちゃん、僕が合図を送るか、戦闘になったら君はまず透明になってるヤツを倒して。ベラちゃんと同じように全員分の武器を持ってる可能性が高いからさ。後は適当にどうにかして皇帝から引きはがしてくればいい」


 ロランの言う事を聞くのは癪に障るけど、その方が良さそうだ。

 透明なヤツはマナを視覚化できる私が一番相手にしやすいだろう。


「アッシュはあたいが殺る。手を出すな」


 ブレアはあからさまに殺意を放っている。

 そんなことをしたら、休戦協定が嘘だってバレちゃうじゃん。


「……カニバルは私に相手をさせて」


 ルーナは覚悟を決めた目付きだ。

 トラウマを克服しようとしているんだろう。


「状況によりけりだけどね。ま、面倒だから譲ってあげるさ」


 エマはいつもと変わらず飄々としており、落ち着いている。

 誰が相手でも構わないといった感じだ。

 エマの影の中にいるベラは喋れないし顔も見えないから、どんな気持ちかわかんないけど。


「では、皆様方揃ったようですし休戦協定のための会談を始めましょうか」


 私達の左の、丁度皇帝と王様の間を取り持つような形で長いテーブルの端に座った大公様。

 後ろには護衛の騎士が並んでいる。


 間を取り持つ大公様には悪いけど、ロランのプラン通りならこの休戦協定は失敗する。


 ここで私達が皇帝を護衛から引き剥がし、ロランが皇帝を殺すことに成功したら、戦争は一時的にでも止まるかもしれないし、なんなら終わるかもしれない。


 私達はそんな気持ちで意を決したんだ――。

何となく面白そうなど、少しでも思ってくださった方は、画面下の『☆☆☆☆☆』からポイントを入れていただけると幸いです。

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皆様が応援してくれることが執筆の原動力と自信にも繋がりますので、何卒よろしくお願いします。

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