表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/110

三十八話 アリアの元へ

 私はルグレの死体をアフェクシーの慰霊碑まで運び、墓を掘り返して埋めた。


 きっとこの方がルグレも寂しくないよね。

 あの世で……ジャンティや皆と仲良くするんだよ。


 そして、事前に外していたルグレの両腕の手甲を、右手の分はジャンティからもらったネックレスと共に慰霊碑に捧げ、手甲の左手の分は私が受け継いで装備した。


「ルグレ……借りるね」


 既に旅支度を終えている私は、漆黒のローブを纏い、布袋を担いで歩を進める。

 アリア達がいる、王都へ向けて――。



*****



「うわああぁぁ!!」


「ほぇ?」


 王国に入って数日間、王都へ向けて山道を歩いていると前方から野太い悲鳴が聞こえてきた。

 私は闘気を纏って、悲鳴が聞こえた方へ向けて走り始める。 


「何でこんな目に!! ちくしょおぉ!!」


 悲鳴の主は見た目から商人に見えた。

 何かに追われているのか、こちらに向けて馬車を爆走させている。

 追っているのは……猪の魔物?


「そこの黒い人、どいてくれ……いや、逃げろぉぉ!! 魔物だあぁぁ!!」


 商人は私の姿を確認したのか、危険を訴えかけてくる。


 けど、私は止まらない。

 大地を蹴り、宙を舞って、空中で商人が乗る馬車とすれ違った。


「……飛んだぁ!?」


 大した闘気も纏ってない魔物……この程度なら一撃で仕留められるだろう。

 そう判断した私は中空で回転し――。


「闘技【断絶脚】」


 闘技【断絶脚】で、猪の魔物を悲鳴を上げる暇も与えずに、右脚の踵落としで一刀両断に切り裂いた。

 その勢いで、被っていたローブのフードが脱げる。


「女の子……があんな魔物を……これは……夢……か?」


 馬車を止めた商人が、魔物を一撃で倒した私が女の子だったことに、ただただ驚いていた――。



*****



 助けた商人はどうやらゴルドのように裕福ではなく、護衛を雇う金銭をケチってたみたい。


「いやはや、助かったよ。何かお礼をしたいんだけど、あいにく積み荷は食べ物しかないんだが……」


「本当!?」


 積荷は果物で一杯だ。

 新鮮で美味しそう!


「これくらい貰ってもいい!?」


 私は左手一杯に果物を抱え、商人のおじさんは頷き、了承をしてくれた。

 タダで貰えるなんてラッキー!!


「命を助けてもらったんだ、それくらいお安い御用さ」


「ありがとう、おじさん!! じゃあね!!」


 貰った果物を布の袋に入れて抱えた私は、商人のおじさんに手を振り別れを告げる。

 そんな私をおじさんは引き留めて来た。


「待った嬢ちゃん!! リユニオンの方は危ないから行かないようにね!!」


「ほぇ? 何で?」


 リユニオンってどこだろ?

 アフェクシーで拝借した地図は持ってるけど、地理とか全然わかんないや。


「今リユニオンまで帝国軍が侵攻して、戦闘が行われてるんだ。歌姫様や紫狼騎士団の冥土隊も参戦してるって話だから、激戦なのは間違いない。近づかない方が良いよ。俺も遠回りしてきてこのざまだけどね」


「歌姫様って、もしかしてアリアのこと!?」


 アリアって今、歌姫様とか呼ばれてるの!?

 冥土隊……って言うのは、まさかルーナ達のことかな?


「確かそんな名前だった気はするが……あ、もしかして憧れてるのかい? 王国で凄い人気だからねぇ。両目が見えないにも関わらず、戦場の兵士のために歌う可憐な歌姫。俺も一度は拝みたいもんだよ」


 アリア……生きてて良かった。

 小さい頃も可愛かったから、もっと可愛くなってるんだろうな。

 早く……逢いたいな。


「リユニオンってどっちの方角? ここから遠い?」


「リユニオンはあっちで馬車で三日くらいの距離だけど……って、お嬢ちゃん?」


 商人のおじさんが指した方角を向くと、私が何をするか察したのかおじさんは手を差し伸べてくる。


「心配しなくても大丈夫だよ、色々教えてくれてありがとう」


 そんなおじさんのことはお構いなしに、私は闘気を纏った。


「うわぁ!?」


 おじさんはどうやら私程の闘気を今まで見たことないのだろう。

 私の闘気の圧に気圧されている。


「私はそれなりに強いし、世界一強くなろうとしてるから」


 闘気を纏った私は走り出す。

 リユニオンへ……アリアの元へと――。

何となく面白そうなど、少しでも思ってくださった方は、画面下の『☆☆☆☆☆』からポイントを入れていただけると幸いです。

感想を頂けたりSNSなどで広めて頂けると、作者は更に喜びます。


皆様が応援してくれることが執筆の原動力と自信にも繋がりますので、何卒よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ