コント「冒険者」
二人「はいどうも~」
ツッコミ「あのな、俺、冒険者やってみたいんだよね」
ボケ「はいはい、冒険者」
ツッコミ「うん。それでね、お前には俺の仲間役として一緒に冒険してほしいのよ。お願い!」
ボケ「それが人にものを頼む態度か」
ツッコミ「いや模範解答そのものだったでしょ!? とにかく、まずは職業を決めよう。俺は戦士でいく。前に出て敵と戦うぞ!」
ボケ「じゃあ俺は、近くでお前の冒険を見守っておくぞ!」
ツッコミ「それ傍観者! 冒険者じゃない、傍観者!」
ボケ「一文字違うだけだしいけるいける」
ツッコミ「いけないいけない。ちゃんと参加して下さいね? お前には魔法使いをお願いしたいのよ。後ろで俺の援護をしてほしい」
ボケ「魔法使いかー。魔法使いって防御力低いから苦手なんだよなー」
ツッコミ「あー分かります。でも心配するな。戦士の俺が前に出て守ってやるから!」
ボケ「あ、チェンジで」
ツッコミ「いやチェンジとかないですからね? それよりもさっそく冒険の依頼を受けに行きましょう」
ボケ「冒険の依頼が集まる場所といえば、冒険者ギルドの掲示板ですね」
ツッコミ「そうですね。どれどれ。おおー、色々な依頼がありますね」
ボケ「これなんかどう? 魔王討伐依頼」
ツッコミ「魔王かー。いや、俺たちは初心者の冒険者だ。魔王に挑むなんてまだ早い。もっと簡単な依頼にしよう」
ボケ「臆病者め」
ツッコミ「いや妥当な判断だと思うんだけど!?」
ボケ「じゃあこれは? ドラゴン討伐」
ツッコミ「ドラゴン。絶対やばいでしょ。やめときましょう」
ボケ「臆病者め」
ツッコミ「俺そんなに臆病者かな!? まっとうな判断だと思うんだけど!?」
ボケ「それならこれは? 殺人ニワトリ討伐」
ツッコミ「殺人ニワトリ? あまり聞いたことないモンスターだな」
ボケ「人間を襲って食べてしまうニワトリだって」
ツッコミ「うわ恐ろしいモンスターだな」
ボケ「そして身体が山より大きい」
ツッコミ「ドラゴンよりやばくないですか!? やめときましょう危ないから」
ボケ「そうですね」
ツッコミ「いや臆病者って言わんのかーい!? 魔王やドラゴンの時はさんざん言ってたクセに言わんのかーい!? あーもう、この依頼にしよう。スライム討伐」
ボケ「無難ですね」
ツッコミ「最初はそういうもんだから。場所はスライム洞窟だって」
ボケ「洞窟までどうやって行く? タクシー?」
ツッコミ「世界観ぶち壊すのやめてくれる!? 徒歩だよ徒歩! ほら、さっさと行くぞー」
(間を置く)
ツッコミ「到着。ここがスライム洞窟か。うわ、さっそくスライムが出てきた!」
ボケ「たくさん出てきたな。すごい数だぞ」
ツッコミ「よし、それじゃあ俺が前に出て、スライムたちを食い止めるぞ!」
ボケ「それじゃあ俺は、近くでお前の戦いを見守っておくぞ!」
ツッコミ「だからそれ傍観者! お前は魔法使いなんだから、魔法で派手に攻撃してスライムを減らしてくれ!」
ボケ「よし任せろ。しねしねビーム! しねしねビーム! よし勝った」
ツッコミ「ちょい待ち。なに? そのしねしねビームって」
ボケ「しねしねビームをご存じない!?」
ツッコミ「逆に知ってると思ってるの!?」
ボケ「敵を光線で攻撃する魔法だよ」
ツッコミ「そうだろうとは思ったけど、名前があまりにもあんまりでしょ」
ボケ「ところで、さっきの戦闘で少しダメージを受けてしまった」
ツッコミ「それは大変だ。回復薬をあげるよ」
ボケ「おいおい、俺は魔法使いだぜ? これくらいの傷、自分の魔法で治せるさ。回復薬は節約しよう」
ツッコミ「おお、それなら頼むわ」
ボケ「よし。しねしねビーム!」
ツッコミ「しねしねビーム!? しねしねビームでケガ治るの!?」
ボケ「ほら見てみろ。傷がさらに悪化した」
ツッコミ「でしょうね! ほら、この回復薬使え」
ボケ「そうする。ゴクゴク……おぉ、傷がどんどん治っていく」
ツッコミ「さすが回復薬ですね」
ボケ「冷静に考えるとやばい効能ですよね」
ツッコミ「確かにやばいですよね。すぐにケガが治るんですからね。現代医学でも無理ですよね」
ボケ「そのやべぇクスリもっとくれ……禁断症状が……」
ツッコミ「いや回復薬にそういう副作用ないですからね? 依存症的な。
ん? 待て……この気配は、スライムの親玉が出たぞ!」
ボケ「くっ、すごく強そうだぞ」
ツッコミ「こんなのがいるなんて聞いていないが、やるしかない! 戦うぞ!」
ボケ「よし。しねしねビーム! なにっ!? しねしねビームが効かない!? ぐわぁ!」
ツッコミ「ああ!? 魔法使いがやられた!? この野郎! ズバーッ! よし、やっつけたぞ! 大丈夫か魔法使い!」
ボケ「相棒、俺はもうダメだ」
ツッコミ「そんなこと言うな! もっとお前と一緒に冒険したいんだ!」
ボケ「安心しろ。俺はいつでもお前の近くで、お前の冒険を見守っているぞ……お前と無関係を装いながらな……」
ツッコミ「だからそれ傍観者! いい加減にしろ、もうええわ」
二人「どうも、ありがとうございましたー」