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虚な小屋②

「あのあと一体何がどうなって僕はここにいるんですか?」

 ダルトに詰め寄る。ヘラヘラしてまた何か考えてる顔だ。しばらく悩んだ後にダルトは口を開いた。


「本当の事きっちり聞くのは、俺じゃだめだな。宿屋説明してやってくれ」


 ダルトが部屋から出るとさっきの紳士服が入ってきた。


「どうも、私の名前は宿屋、よろしく頼むよ。何が聞きたい?」


 この宿屋って人はダルトと違って優しそうだ。服も相まって、接客されているような安心感がある。


「気絶した後からいままで、何があったか教えてほしい」


 宿屋はうなずきポケットから電卓を出した。


「2日の宿泊料プラス治療費プラス説明費用プラスサービス料ざっと合わせて1000Darになります」


 そう言うと僕の前に右手のひらを突き出した。Dar?なんの話しだろう。それに宿泊費って床に転がされてただけだし、サービス料って何。にこにこしながらさらに右手を突き出して来る。


「まさか持ってねぇとは、言わせねぇぞ。どうすんだ何で返す、物か労働か?おまえ自身か」


 宿屋は突然鬼の形相になり、さっきとは違う低い声で詰めよってくる。裾からメスのような刃物を取り出して今にも僕の腹を裂こうとしている。逃げようとしても病み上がりで力が入らない。

 その時、部屋の扉が少し空いてダルトがのぞいている。何か指をさしてこちらに合図を送っている。ずぼんを指差している。ポケット?そうか、ポケット!ポケットに手を突っ込むとダルトにもらった謎の紙幣が入っていた。1000Darと書いてある。宿屋につき出した。


「お支払いありがとうございます」


 宿屋は紙幣を受け取ると元のニコニコ紳士に戻った。Darはどうやらこの世界の通貨らしい。それにしても癖の強い人達だ。



 その後、宿屋は僕を隣の部屋の食卓らしき4人がけのテーブルに呼ぶと、意識を失ってから今まで何があったか話してくれた。

 戦場を見ていたダルトが僕を救出しここに連れて来た事、ここなが助かりそうもなかった事、アオは戦っていたが正気じゃなく置いてきた事。あの日は僕達がこの世界に来る予言がいくつもあり、大国同士の戦争は起こるべくして起こった事。

 そして、あまりに激しいBox争奪戦の末にBoxが花火のように砕け散った事。

ここは何処なのかを聞こうとしたが、またお金がかかりそうなのでやめておいた。ダルトに聞いても嘘つきそうだし、赤いヘルメットの男に声をかけた。


「はじめまして、僕はカタリと言います。よろしくお願いします。ここは何処ですか?」


 赤いヘルメットの男は両手でバッテンをした。子供のようなジェスチャーだ。


「そいつは、赤ヘル、話しかけても喋らないぞ」


 ダルトが割って会話に入って来た。喋れないのか、なんだか悪い事をした。


「どうせ喋れなくてかわいそうとか思ってるんだろうな、違う。赤ヘルは喋れないんじゃない、喋らないんだ」


 ダルトは意味深に言うとコーヒーを啜った。








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