新入の毒舌のプロモーション
初投稿です。誤字脱字や疑問、改善した方がよりよい作品となる点等あれば感想などで指摘していただければ嬉しいです。
異能要素はまだありません。
投稿日は不安定です。時間のある日はなるべく執筆に時間を割こうと思います。ご容赦ください。
―――――――ある夜のこと
「や、やめっ!!っがあああっ!!」
「僕ら友達だろっ!!ちょっ、まっ、ああああ!!」
「だめっ、やだっ、ぎあああ!!」
―――――――燃え盛る町で悲鳴と激昂が溢れ狂う
「いっ、今ならまだっ、戻ってこれっ、」
「ひっ、そんなっ、うそっ、やっ、」
―――――――蝙蝠のような漆黒の翼を生やした少年が惨事を引き起こした元凶であった
「あと、十三人」
◇ ◇ ◇
「んむぅ」
平和な朝を迎えた三千二十六年の日本国。第二次世界戦争からもはや、約千年が経った今、世界には新たな脅威が迫っていた。
それは、二千五百九十年に起きた国際的な超大事件。
突如宇宙から降ってきた、まるで物語から飛び出したような怪物たち。人々は、奴等をクリーチャーと呼んだ。
そして、世界中の人間はクリーチャーに抗うために、奴等の残骸と地球から産まれたダンジョンから採れる鉱石などから造り出した力があった。
それが、異能である。
◇ ◇ ◇
「ほら、朝だぞ。早く起きないと入学式に遅れるぞ」
イケメンボイスが耳元で囁いた。まごうことなき、兄の声である。
「んむぅ。ふわぁ、ん。分かった」
渋々とベッドから這い出て、支度をする。それに気付いたのか、兄が苦笑しながら、部屋を出る。
「はあ、めんどくさいなあ」
髪を整え制服を着て、僕も続いて部屋を出る。寝惚けた目を擦りながら階段を下りると、もうすでに朝食が用意されており、家族はみな家を出ていた。
「はあ、だっる」
◇ ◇ ◇
今日は憎たらしいほど雲一つない快晴。僕のような昼夜逆転した引きこもりのような陰キャにとっては苦痛以外の何者でもない高校の初登校日、つまり入学式。
一般的な新入生からすれば、新たな出会いと人生の分かれ道である入学式はかなり、いや絶対に重要であるだろうが、正直に言ってめちゃくちゃめんどくさい。
兄さんが学校にいればなぁ。なんて、しょうもない理想が口から零れるけれど、いないものは諦める他ない。
兄さんは、僕ら新入生と入れ違いになった卒業生。兄さんのような運動も勉強もできる完璧超人で、整えられた美しい髪、まるでお伽噺の王子様のようなクソイケメンフェイス、聞けばどんな女でも振り向いてしまうようなイケメンボイス。こんな奴が血縁者だと知れれば、きっと学校はイージーモードだったに違いない。
こんなイケメンが兄なら弟である僕もイケメンだろ?って思うかもしれないけど、そんなわけないじゃん。
一体誰の遺伝子を受け継いだのか、僕は髪がボサボサでチビ、顔も童顔だから知人でなければ鬱陶しいクソガキにしか見えんだろう。
んま、そんな自虐的思考は置いといて。
「はあ、今すぐ自室に籠りたい」
生粋の陰キャであるこのボクッ!!、からすると、今日は入学式の途中で、いいや、学校に着いたらお腹を壊してトイレに籠っちゃうに違いない!僕のお腹がそう言っている!!はず......。
なんて考えていたら着いてしまった。学校という魔王城に。
「やだな~。何で僕が学校なんかに行かなきゃならないのさ。絶対男子の目の敵にされちゃうよ。怖いよ~」
と、さっきとは全く違うことを不満とともに口に出す。はあ~。仕方ないけど行くか、教室に。
事前に自分のクラスを告知されているので、しっかりと覚えた頭の中の校舎図に従って教室へと歩く。
兄さんのようなEliteが蔓延る魔窟かと思えば、いざ教室にごく自然に、まるで最初からいたかのように背景に溶け込みながら席へ移動してみれば、兄さんならば絶対に気付くのに、誰一人として気付かない。こいつら節穴か?と思いつつも、兄さんのようなのが何人もいたら宇宙間で戦争始まっちゃうよ、と一人で自分の思考にツッコむ。
それから少しして、何人かが入って来たのち、教師らしき女性がやってきた。
「はーい皆さんおはようございます。この一年三組の担任の樹屋葉子です。今日の入学式に誰一人欠席者がいなくて先生は嬉しいです!」
いや、あんたの感情なんてどうでもいいからさっさとしてくんないかな?僕は早く帰って自室でゴロゴロするという大事なミッションがあるのだから。
「それでは、入学式までまだしばらく時間があるので、皆さん順番に自己紹介をしましょう。名前と趣味、あとは得意なことなどを話してください。それではまずは改めて私から」
樹屋とかいう女は、コホンと咳を間にはさみ、簡潔に自己紹介した。
「先程も言いましたが樹屋葉子です。趣味は植物観賞、得意なことは子守りです。植物が好きな人は今度一緒に話しましょう」
そう言って、ペコリと綺麗にお辞儀すると、生徒が拍手する。そして、席が角の男が立ち上がる。
「えーと、愛河勝也です。趣味は運動、得意なことも運動です。誰か一緒に運動しようぜ!!これで終わります」
愛河は最後にバカデカイ声で叫び、座った。暑苦しいなぁ。こいつとは関わらないようにしよう。うん、それがいい。
とか、考えているうちにはいつの間にか僕の番になっていた。やばい、全く聞いてないや。まあいいか。
「え~と、倉間りぶっていいます。趣味は読書で、得意なことは特にないです。よろしくお願いします」
なるべく弱々しい陰キャを演じながら、ボソボソと自己紹介を終える。皆僕のを聞いたあと、何人かがクスッと笑う。どこがツボに入ったのかは知らないけど僕と兄さんが兄弟であることに誰も気付いてないっぽい。よかったぁ。心の底から感謝感激雨氷柱。
そしてまた残り半分も聞き逃してしまう。まあこんな他愛もない奴らなんて知ったところで記憶容量の無駄遣い。むしろ聞き逃してラッキーだ。
「はい皆さんありがとうございます。これから一年間よろしくお願いします。それでは時間もいいところなので、体育館に移動してくださいね~」
樹屋は電気をパチンと消すと、スタスタといってしまった。それに続き他の奴らも何人かでかたまって向かう。
僕も行こうとすると、気配だだもれで誰かが近づいてくる。
「ねえ、倉間くん、少し聞きたいことがあるのだけどいいかしら?」
振り返ると、赤い髪を棚引かせる美人さんがいた。うっ、輝きすぎて、直視できない!!
「え、えっと、僕に聞きたいことって何?」
ちょっとキョドって聞き返す。こうすることで相手は僕を下に見る。そして、要らないことまでベラベラと喋ってくれる。
「単刀直入に言うけれど、貴方って倉間斬さんの弟よね?」
な、なんと、初日からばれてしまうとは。こいつはきっと兄さんの信者かなんかに違いない。危険だ。でもここで違うと首を振れば逆に怪しまれるだろう。だからここは敢えて潔く認めよう。僕があの怪物の弟だと。
「う、うん、よくわかったね。僕と兄さんって全然似てないのに」
「あら、そうかしら?私には小さくなった斬さんに見えるわよ」
こ、このクソアマ、僕の欠点である低身長をここぞとばかりに指摘しやがった。ぐすっ、結構気にしてるのに......。
「あ、あはは、そうかな?えっと、聞きたいのはそれだけ?ぼ、僕先に行くね!」
こうやって逃げるように駆け出せば、大抵の馬鹿は勝手にクソ雑魚だと思ってなめてくれる。ははは、僕の勝ちだ!それでは皆さんさようなら!!
と、体育館に着いて、早々に眠ってしまったので、一瞬で入学式は終わったのであった。ぱちぱち。
お読みくださりありがとうございます。次回もよろしくお願い致します。