9.魔法
私たちは、何があったのかを、ジジイに話した。
「なるほどね、突然と黒い何かが視界に映ったと。そうか、なら話は簡単だ。」
どうやら爺さんは知ってるみたい。
ジジイは続けた。
「これは、魔法というものじゃな。魔法。」
魔法?よく小説とかで出てくるあれか?
それにカナエが反応した。
「魔法?それって貴族とか、そういう人しか使えないんじゃ。」
どうやらこの世界では、誰でも魔法が使える世界では無さそうだ。
「ああ、確かに魔法が使えるのは貴族や王族だけじゃ、だが極たまーに平民でも突然魔法が使える人がいるんじゃ。」
「じゃあ、その魔法が使える平民がミラちゃんってこと?」
「ああ、多分な。」
ってちょっと待て。
私、昨日この世界に来たばっかだよ。
なのに何でそんなすぐに魔法が使えるわけ?
こんなの主人公補正もビックリだよ。
「でも私、昨日この世界に来たばかりですよ。」
「まあ、その辺は異世界人の客なんて初めてなものだからな、すまないがそこらへんは分からない。」
まあそりゃそうか。
「そうですか・・・」
なぜ手に入れたか分からない魔法。
しかしこれは何の能力なのやら。
黒い靄は置いておいて、あの声は本当に心の声を読めるのか?
「まあ分からんことは一旦置いといて、とにかくその魔法が何なのかをはっきりさせないとな。」
まさかのリンク。
と、ジジイは奥の方に行き、何やら持ってきた。
それは紫掛かったビー玉のでかい版、ほこりが被っていて濁ったように見えた。
「こいつはな、触った人の魔法の情報を見ることが出来る、奴なのじゃ。」
何そのファンタジーな物。
ってかそのほこりだらけの玉に触るのか・・・
「・・・そのほこり何とかなりませんかね。」
ジジイはその辺に落ちてた布きれで、その玉を拭いた。
その布大丈夫か?
でも、ほこりが無くなったことにより、紫な玉はより透明度を増した。
「これでどうじゃ。ま、触ってみろ。」
と言われたので、その玉に触った。
すると、紫だった玉は、黒く濁り、輝きが無くなった。
その黒さはまるで、カナエから出ていた靄のように黒かった。
と、黒かった玉は、突然透明になった。
完全に透き通った玉は、綺麗だった。
と、これで何かが分かったかのように、ジジイはいった。
「なるほど、分かった。あんたの魔法っていうのは、相手のマイナスな感情を読み取ることが出来る、そんな奴だ。」
読み取る?
カナエが質問をした。
「マイナスな感情って何?」
「例えば、悩み、憎しみ、悲しみ、怒り。まあ、言ってしまえば相手が思ってるマイナスな感情を読み取ることが出来る、わけじゃ。」
だからあの時に何か聞こえたのか。
じゃあ、あの声は、カナエの・・・悩み?
「そう・・・ですか・・・」
と、また何かが頭の中に入って来た。
(ミラちゃんに聞こえてたのかな・・・)
カナエに何があったのかは分からない。
けど、何かを悩んでいたことははっきりと聞こえていた。