7.カナエのカコ
私、カナエが8歳の事だった。
その日は雨の日だった。
私たち家族がご飯を食べていた、その時だった。
「おい!この家にユメミはいるか!」
突然雷のように大きな声が聞こえた。
お母さんがドアを開けると、そこには甲冑の男がいた。
「私がユメミですが、何か。」
と言った瞬間。
お母さんは突然縄で縛られた。
「な、なにを。」
「お前を大逆罪で逮捕する!」
突然の事で、私は固まったが、お父さんは
「これは何かの間違いじゃないか。ユメミは何もしてない。」
「あいつがしたことはとっくに調べがついている。これ以上反論するならこの街の市長とはいえ、逮捕する。」
「でも・・・」
お父さんが続けようとした時、
「あなた、もういいわ。」
お母さんが止めた。
「早く行きましょう。」
お母さんは甲冑の男と、どこかに行ってしまった。
8歳の私だったが、何が起こったか理解できないが、お母さんに何かされる、それだけは分かった。
それを私は見ることしかできなかった、怖かったから。
お母さん・・・死なないで・・・と思いながら。
・・・
数日後、新聞で革命派の人がまとめて殺された、ということが書いてあった。
その新聞には、確かに書いてあった。
ルークウィズ・ユメミの名前が。
今の王様、ヴィリアム79世になってから、このように今の王様にとって都合の悪い発言をするものは直ぐに処刑されるようになった。
お母さんは正義感が強かった人だったからつい街のどこかで言ってしまったのかもしれない。
しかし、8歳の私に突然の母の死を受け入れることは出来なかった。
その日から私は今の国を恨むようになった。
口には出せないが、心ではいつもそう思っていた。
・・・
そして、今やって来た役人を見、そして雷のような声で、つい思い出してしまった。
もしもこの事がミラちゃんにばれると、ミラちゃんに変な心配かけるかもしれない。
だから、私はミラちゃんの前ではいつも元気だった。
しかし、ミラちゃんは何か考えてる様子だった。
まさか、感づかれちゃった?
「どうしたの?」
まあ、そんな事は無いか。
私の心が読まれてない限りは。