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ハロー/チープワールド  作者: 助吾郎
10人の探索者
14/23

偶然

「「あ。」」

「………ぁ?」


 意外なところで再開した3名。

 ちなみにレンはお互い出会うことは知っていたが、女子会員のレンは畔とアルルの行き先に任せていた。

 回避しようと思えば回避できたのだが、それはそれである。


「アハ!お話ししたことなかったよね?ワタシ笹木畔。よろ〜」


 顔を合わせた程度の面識でも即時に話しかけるのが畔の強みであり個性である。

 恐るべき陽の申し子である。

 一方アルルはいつの間にか元に戻り、静かにもぐもぐときゅうりを齧り続けていた。


「…誰?」

「アバっ?!」


 そんな人の好意、善意すら丸ごと切って捨てるのが縞崎クオリティ。

 だてに日本社会前年通して灰色の人生を送ってはいないのだ。

 彼はこれが素なので悪意があるわけではないのだが、一層質が悪い。


「畔。変な声出てますよ」

「縞崎さん。失礼ですよ。この方々は探索者仲間の…」

「…見ればわかるよ」


 繰り返す。一層質が悪い。

 レンは心の中で強く思ったという。


「…それで何?」

「どういったご用件でしょうか…の意とお考えください。畔さん。アルルさん。」

「アハ…通訳必要なのってどうなの…」

「畔。貴女もアルルの通訳みたいなものですよ」

「心外」

「あのー…お前さんがた。駄弁るだけなら他所行ってもらえんかな」


 一応店の前である。

 ちなみに郷土料理を売っているらしい。

 店主がご立腹なのも致し方ないとは言えよう。


「…それで…アレは何処に行ったら?」

「そこの通路を左に曲がって角を3回通り越した先にある店にあるよ」

「ども。ついでにその食べ物も」

「毎度あり」

「アハ。あれって何?」


 そろそろ店主の目がカミソリのような冷たさと鋭さを帯びてきたのでひとまずその場を離れる一行。


「…寝具」

「寝具!」


 雰囲気的に気が合いそうだと畔が思っていたとおり、アルルは縞崎の言葉に食いつく。

 なかなか喋らないところとか、眠そうなところとか。


「いい睡眠にはいい寝具だよね!」

「…急になに……わかるけど」


 棒状の何かを頬張る縞崎。

 少し会話量が多いのはその食べ物のおかげらしい。

 いつの間にかアルルはアルル(B)に変わっており、そのまま寝具談義に突入する。

 

 その後を負うレン二人と畔。

 見た目の濃さなら負けてない畔は内面的な濃さで完全に敗北し、四人の背を追うばかりである。


「アハ、ハ…」


 畔の力ない声は特に拾われることもなかった。



 その後3人はグループを組むことになる。

 それに伴いレンはまた合体し、さらなる能力拡充に至る。

 心なしか通訳がいなくなって縞崎が面倒くさそうにしていたのはご愛嬌。


「実は御三方にそれぞれ探索していただきたい仮想域が合ったのですが…仕方ありません。実は複数人で挑んでいただきたい場所があるのでそこに向かいましょう。縞崎さんには後でお伝えします」


 とはレンの弁。

 縞崎はよほど先程の料理がお気に召したらしく、宿に着いた後、一人でまた買いに行ったらしい。


「アハ。レン〜カムくんの食べてたのって何なの?」

「あれはこちらの郷土料理です。ツワムと言います」

「アハ。面白い名前だね。どんな味なの?」

「少し辛いです。あと食感がウリです。外側の硬さと中の柔らかさ、もっちり感ですね」


 ちなみにレンはケバブを処理中である。

 アルルは睡眠中。

 先程縞崎と買いに行った寝具が気に入ったらしい。


「アハ。何それ美味しそうじゃん。後で貰おーっと」

「多分無理ですよ…美味しいですね」

「アハ。買いすぎたんじゃない?レン」

「決してそんなことは…」


 そのまま日は沈み、やがて夜になる。

 何故か縞崎はなかなか帰って来ず、宿に着いたのは深夜だったよう。


 女子組は全員寝ている時間帯。

 結局畔はツワムの寄付(強制)を受けることは無かった。

 変なところで空気を読んだ縞崎の勝利である。


――――――――――――――――――――――――――――


『付き人の融合を感知。既定値に達した為、調整を行います』


『スキル…『善悪示す裁定の鉾(アビリテージ・ワン)』の機能拡張…オールクリア』


『身体機能…可動域の上昇…オールクリア』


『表情の取得…不可。失敗により今後の調整を永久凍結』


『人身理解…第人能力補正上昇…オールクリア』


【これでよし。】

 縞崎の好きな食べ物は辛いもの、食べやすいもの、食感が面白いもの。


 アルルの好きなものは野菜。新鮮であるほどいいが漬物もイケる。


 畔は綺麗なもの。色鮮やかな飲み物や迫力のある丼物など。

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