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奈々が世界を救うまで  作者: 小柳團十郎
一度っきりの高校生活
9/24

それは二度目の体育祭

「それでは、これより第二回西京祭体育の部を開始します。」

「「おぉぉ…。」」

生徒会長の宣言に、多くの生徒たちはやる気なく声を上げる。

まぁそれも無理もないだろう。なんせこの体育祭、今月二度目なのだ。

昨年の先輩たちはあまりにクレイジーで、なんと一回目の…本来の体育祭の結果に納得がいかないからと、文化祭である西京祭に体育祭をねじ込んだのである。

「あははは。まぁいいじゃない。前よりは楽しそうだし。」

隣の真希ちゃんが苦笑いしながら言う。まぁたしかにそれは一理ある。

西京祭体育の部は、主に生徒たちが企画しているというのもあって、かなりエキサイティングに仕様が変更されている。

生徒たちはそれぞれ、東軍、西軍に分かれる。それぞれの獲得点数が各々のチームに与えられ、その総得点を争う形だ。

これだけなら普通の体育祭に見えるが、とりわけ異色なのは、生徒たちはそれぞれ、東軍、西軍どちらにつくかを選べるということだ。

そこには一切の容赦がない。つまり生徒比が7対3といった傾きもあり得る。

しかも各生徒には出場種目数に制限があるのに対して、種目自体に出場生徒数の制限はない。

つまりどういうことかと言うと、短距離走をしたら走者が全員東軍でした。なので1レース分の得点丸儲け、というのがあり得るのだ。

この理不尽な仕様は却って生徒たちに公平性を呼んだ、特に私や真希ちゃんのような運動が得意でない人間に。

普通の体育祭、つまり二週間前の私達は空気だった。運動ができない人間は余った競技に割り当てられ、低い点数も捨て札と見向きもされない。

だが、今回は違う。たとえ最下位だったとしても、その点数は敵にわたっていたかもしれない点数となるのだ。

必然的に、東軍、西軍を纏める人達(大将と呼ばれる)は生徒の確保に努めた。

もちろん最優先は運動ができる人間だが、運動が出来ない人間も無視できない。

結果、私達にすら熱心な勧誘が来る始末!

「まぁ確かに。でもなぁ…。」


確かに始まるまでは楽しみな気もあった体育の部。しかし、ここに来てテンションは上がらない。というのも

「まぁ…負けるよね。私達西軍。」

「うん…。」

私達西軍は総生徒のおよそ4割しかいない。対する東軍は6割だ。

「皆!諦めるのは早いぞ!確かに少し不利だが、6対4!僅差ではないか!」

西軍の大将がみんなを鼓舞する。

「まぁ、戦力比でいうと向こうが1.5倍だけどね。」

真希ちゃんが小声でとんでもないツッコミを入れる。

そうなのである。この体育の部の一番の問題は、始まったときには大体勝負が着いている、ことにある。

「ええぃ!目にもの見せてやろうではないか!勝利すると信じて疑わないあの者共を蹴散らして勝利する想像するだけで血が滾るわぁ!」

うちの大将、頭大丈夫か?

「よぉし!頑張ろう奈々ちゃん!」

えぇ…真希ちゃんなに感化されてんの?

けどまぁ。

「よぉし!やってやろう!」

そういうのも良いかもしれない。


まぁ、普通にボロ負けするよね。

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