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奈々が世界を救うまで  作者: 小柳團十郎
一度っきりの高校生活
2/24

それはこれから繰り返す最初の朝

私立西京院学院

自由な校風を売りにしているこの学院は、学生達にとっては憧れの的だった。

結果、倍率の高さから進学校でも無いのに受験は難関。

それが回り回って企業や大学からの受けが良くなり、進学率、就職率も高い水準になり、それは親の良い受けを呼んだ。

つまりは誰もが羨む学校ということだ。

そんな西京院は、今日から私の母校となる。

鏡に映る、西京院の制服を着た自分の姿に思わず頬が緩む。


「おはようお母さん。」

たっぷり制服姿の自分を眺めた後、リビングに降りるといつも通りお母さんが、キッチンで朝ごはんを作ってくれていた。

「おはよう。さすがに今日は早起きね。」

「おはよう。」

返事は2つ。

「あれ?お父さんいたんだ。」

テーブルでお父さんがノートパソコンとにらめっこしていた。

「珍しいね、朝お父さんがいるなんて。」

「あんたが早いだけよ。全くいつもこれぐらい早起きだと嬉しいんだけどねぇ。」

お母さんが嫌味を言いつつ、朝食を並べてくれる。

「ほら、パパもパソコンしまってくださいな。」

「ああ。」

生返事一つでお父さんは全くパソコンを仕舞わない。

まぁいつものことだ。

お父さんの仕事はシステムエンジニアリング。

パソコンで色んなことができるようにする仕事らしい。

バグが見つかったりするとこんな感じで固まる事がよくある。

「またバグ?」

「ああ。システムのインターロックがある自動操作のときに作動しなくてー

「いや、わかんないし。」

「…。」

「いただきま〜す。」


すごすごとパソコンを片付けるお父さんを無視して朝ごはんを食べる。

そうだ、お父さんなんかより大事なことがある。

今日の朝ごはんのメニューはトーストに目玉焼きだ。

そう、目玉焼きがあるのだ。

私はゴクリと喉を鳴らし目玉焼きの黄身に手をかける。

「やった〜!半熟だ〜!」

火の通った表面に割れ目ができ、中からまだ固まっていない黄身が流れ出す。

半熟目玉焼き、それは私の大好物。

「今日は入学式だから特別よ。」

そう、この私の大好物をお母さんは面倒だからというしょうもない理由でたまにしか作ってくれないのだ!

最高の朝食を終え、身支度を整えて(いつもの3倍は時間をかけた)家を出る。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい。」

「行ってらっしゃい。」

お母さんの声に続いてもう一つ声がした。弟の優だ。

寝起きなんだろう、ボサボサの髪に寝巻き姿だ。

「はぁ…。全く。だらしない弟なんだから。」

「なんだこのウザイ姉。」

「優もいい年なんだからもっとしっかりしないと。」

「昨日12時まで寝てた人の言い分かよそれ。」

「行ってきます。」

うっとおしい弟だ。さっさと出るに限る。

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