004
「すみませんが、お聞きしてもいいですか?」
少年の動きが止まる。
少年の前に出てきたのは、ガイアが率いるチームだった。
私は息を飲んだ。
「何だ?お前ら」
邪魔されたのが鬱陶しかったのか、少年は不機嫌そうに、問う。
「あぁ〜、お前が来るのトロいから、他のチームに先越されたじゃんか!」
カナメが文句を言う。
(そんなこと言ったって、しょうがないじゃない)
私はもう一度、ガイアを見た。
「貴方は悪魔なのですか?人間でしょう?」
ガイアは、悪魔を分析する能力がない。
彼のチームの分析者も、そこまでの力はない。
汗がでる。
これから何が起こるのか。
想像もしたくない。
「はっ!僕を人間だって!あんな汚い物と一緒にするな」
声は怒っているように聞こえたが―
顔はニヤニヤしていた。
そして、手からは禍々しい黒い球を乗せて。
「やはり、悪魔でしたか...。では、消すしかないですね」
背中につけていた、大振りの剣を抜く。
「おっ、僕とやるの?いいのかなぁ〜そんなことしちゃって」
少年、改め悪魔は茶化した。
手のひらに乗っている黒いものが、更に大きさをます。
「当たり前です。我々は悪魔を討伐するのが仕事。悪魔と知ったからには、見逃しません」
(戦っちゃ駄目!)
心の中で叫ぶ。
声は、出せない。
昔を思い出してしまうから。
ギュッと、目を閉じたい。
けど、気になる。
私は、胸がはれ裂けそうになってしまう。
ドカーン!
爆発音と共に、地震のような、揺れが起こる。
皆、こけてその場に突っ伏す。
(これが、あの悪魔の力...)
普通の悪魔よりも、遥かに強い。
姿は可愛らしい 人間。
でも、本性は
残酷な悪魔。
(きっと、ガイアはもう駄目だ)
あの距離と、あれほどまでに大きく禍々しい波は、即死させてしまう威力だ。
「うわぁ〜!」
しかし、聞こえた悲鳴はガイアの物ではなかった。
ガイアの声は大人びているけど、この悲鳴は、どちらかと言うと幼い感じ―。
「まだまだですね」
声が
ガイアの声が。
生きていたんだ...
私は喜ばずにはいられなかった。