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強者どもは四人いる  作者: 麟凰
序章
6/18

6 秘密基地 Side拯 ⑥

俺達の秘密基地は、切り立った崖にぽっかりと穴を空けている洞窟だ。

たくさんの木々が洞窟全体を覆い隠していて、ぱっと見ただけではそこに洞窟があるとは分からない。

出入口からは十メートルほどの細長い道が続いており、更に進んで行くと開けたところに出る。その広さは百畳ぐらいだ。俺は広間と呼んでいる。

広間からはいくつかの道が延びているが、全て行き止まりになっている。

俺は前回来た時に苦労して取り付けた蝋燭へ火をつけながら、三人を広間に案内した。


秘密基地を初めて見た三人の第一声は、



「「「凄い……」」」



中に入り広間を見回して、



「「「秘密基地だな……」」」



そんな三人のハモり×2を聞いて、俺は嬉しかった。

頑張って整えた甲斐があったよ。

何せ、最初は酷かったからなぁ~……。当たり前だけど。 

落ち葉が半端ないくらいあって、全部掃き出すのが大変だった。

内部も所々崩れていたしな。修復するのに手間取って、かなり時間がかかった。

……めげずによくやったよ、俺!!

過去の自分を褒めている俺をよそに、三人は広間を歩き回っている。

興味深そうに見ていたり、何かを考え込んでいたり、観察していたりと様々だ。


三人の感想を聞こうと、まずは玲人の方へ近づいた……はずなんだが。

何故、俺は穴に落ちているのだろうか?

さっきまで、広間に穴なんてなかったぞ?!

どうなってるんだ!?

穴の中は真っ暗で、何も見えない。

底があるのかどうかも分からない。

しかも俺の体が、穴の奥へと物凄い力で引き寄せられている。

もう下半身は穴へ完全に入っており、上半身も時間の問題だ。

今は腕の力だけで、穴の縁にしがみついている。


……やばいな。

一瞬でも気を抜けば、穴の中へ引きずり込まれてしまう。声を出すことすら危険だ。

助けてほしいが三人とも俺に背を向けているため、俺が陥っている状態に気付いていない。

くそっ……!!



「やはり違和感があるな……」



何か引っかかるところがあるのか、玲人は首を傾げながら考え込んでいる。

玲人、気付いてくれ!一番近いのはお前なんだ!

気付かないとしてもその後ろ向きのままでいいから、せめてもう少しだけこっちに下がってきてくれ!!

そうすれば、かろうじてお前に触れることが出来る!!

いくらなんでも、触れられたら気付くだろう?!

だから頼む!!玲人、来てくれっ!!!

そんな必死の思いが伝わったのか、玲人は何やら納得のいかない様子で、俺の方へ二歩下がってきた。


あと一歩、あと一歩こっちに来い!!

玲人っ!!!早くっ……!!

耐えているのも限界になった時、遂に玲人の右脚が俺の方へ一歩下がった。

チャンスっ!!!



「……玲人ぉ~!!」



ガシッ!!



「あ?」



玲人の右脚を、両手でがっちりと掴む。

玲人は考え込んでいたためか、本性が現れかけた声を出す。

そして、その原因である俺を捜して……固まった。

まぁ、正しい反応だな。

誰だって、ダチがさっきまで無かった穴に落ちかかっているなど、思いもしないだろう。

ましてや、凄い力で穴の奥へ引っ張られている俺に自分の右脚を掴まれ、自身も引きずり込まれそうになっているとなれば尚更だ。

しかし、流石は玲人。

状況を把握し、復活するのも早かった。

一瞬で我に返る。



「……はぁ?!」



おっ、玲人のポーカーフェイスが崩れた。珍しい。

玲人の驚いた顔は貴重だな。

こんな状況じゃなけりゃ、激写してるところなんだが……実に惜しい。

そんなことを思っている間に、とうとう穴から頭だけが出ている状態になった。

玲人は右膝をつき、地面に両手の爪を立てて堪えようとするが止まらない。

俺と玲人の異常に気付き、結揮と彰が走って近寄ってくるのが見える。


巻き込んで悪いな、玲人……。


そう思ったのを最後に、俺は穴の中へ完全に引きずり込まれた。

三人の姿が見えなくなる。

暗闇の空間に投げ出されて意識が途絶えそうになる前、ふと思った。


結揮と彰も巻き込んだかなぁ……。

まぁ、いいか……俺達が四人揃えば無敵だからな……何があっても大丈夫だろ……。






























そして、俺は意識を失った。



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