4 秘密基地 Side拯 ④
「拯」
「ま、前々から、俺達四人だけの根城が欲しいなぁ~とか思ってたんです。で、どうせなら秘密基地が良いなと」
「で?」
腕を組み、顎に手をあてて聞いている姿が絵になっている。
カッコ良すぎるぜ、玲人……。
「秘密基地はやっぱり山にあるものだと思ったので、ここ最近、頑張って探してました!」
何だか、部下が上司へ報告しているみたいになってしまった。
しかも、ノリで敬礼までしてしまった。
玲人のあまりの威圧に、本能が反応したに違いない。
「言ってくれれば、俺達だって手伝ったぞ?俺達四人の根城なんだ。お前一人だけに任せっぱなし、なんてさせないのに」
そんなこと知ってるさ、結揮。
なんだかんだ言って俺に付き合ってくれるお前達三人は、俺の最高のダチ達だ。
俺には勿体ないぐらいのな。
けどそれを言葉にはせず、違うことを言う。
「ふふん。俺が何の為に、一人で探したと思ってる?お前達を驚かせるためだ!!……それなのにお前らときたら、驚くどころか興味すら示さないなんて、いくら俺でもへこむぞっ?!」
「拯の言う山ってのは、学校の裏側にある山のことだろ?秘密基地だか根城だかは、どこら辺にあるんだ?」
華麗なスルーですね、結揮さん。
……ぐすっ。こ、このくらいのことで挫けないもん!
「……山の奥の方にある。洞窟になってて、結構広いんだ」
「へぇ~」
「片道は、どのくらいかかるんだ……?」
おっ、彰が食いついてきた。
「一時間半ぐらいかな。往復で三時間はかかる」
「じゃあ、今からは無理か。もう五時になるしな」
俺の返答を聞いて、少しだけ残念そうな顔をする結揮。
結揮に同意する彰も、どこか落胆した様子だ。
「夜は危険だからな……」
まぁな。山だから何が出てきてもおかしくない。
「お前達、興味があるのか」
玲人が結揮と彰に聞く。
俺も気になってたんだ、それ。
さっきまで興味なさそうだったのに、どういう心境の変化なんだ?
「多少は。せっかく拯が見つけてきたんだしな。それに、俺達だけしか知らない場所になるんだろ?『秘密』って響きにワクワクしねぇか?!」
目をキラキラさせながら、ガッツポーズをする結揮。
どうでもいいけど、鼻息が荒い……。
「するな……」
結揮の言葉に頷く彰。
「そうか」
玲人は相槌を打つだけだ。
興味ないのだろうか?
ん~……ん?
「なぁ!明日、四人で秘密基地に行かないか?休みの日だし、ちょうどいいだろ?」
実際に見れば、玲人も興味を持つかもしれない。
聞いてるだけじゃあ、実感なんて湧かないだろうしな。
「俺はいいぜ!」真っ先に賛成したのは結揮。
「賛成だな……」続いて彰。
「れ、玲人は?」
後は玲人次第……。
「……いいだろう。明日、午前九時に校門前へ集合だ。いいな?」
「「「了解」」」