3 秘密基地 Side拯 ③
「で、今度はどんな面倒事を持ってきたんだ?」
やや茶色がかった短髪の頭をガシガシと掻きながら、いかにもダルそうに結揮が聞いてくる。
こいつの容姿は上の下、頭の良さは中の上ぐらい。
性格は明るく楽観的。
友好的で誰とでもすぐに打ち解け、男にも女にも好かれる奴だ。
「どうせ碌な事じゃないに決まってる」
無造作な黒いミディアムヘアの玲人は、結揮の隣で欠伸をしながら容赦のない一言を放つ。
こいつの容姿は超上、頭の良さも超上。
性格は冷静・毒舌。
いつも人とは距離を置き、傍観に徹している。
周囲を客観的に観察し、自分自身にさえも無関心な奴だ。
「面倒だ……」
黒い短髪の彰は眉間に皺を寄せ、顔全体で面倒だと主張している。
こいつの容姿は上の中、頭の良さは上の下。
性格は面倒見が良く温厚。
寡黙で、自分の考えよりも他人の考えを尊重する奴だ。
「俺達、一応友達だよな……?」
短髪よりもやや長い天パ気味の黒髪を持つ俺は、三人の俺に対するあまりな扱いに恐る恐る友情を確認してみる。
俺の容姿は中の中、頭の良さは中の下。
俺の周りにいる人達が揃って言うには、『黙っていればそれなりなのに……』俺は色々と残念な子だそうだ。
性格は熱血・積極的。
人を思いやることを心掛け、目に見えない絆を大切にしている。
周りの人達曰く、『後先考えずに突っ走る』『喜怒哀楽が激しくてついていけない』らしい。
そんな色々と残念な俺に対しての三人の返答は……。
「「「一応」」」
「い、一応ですか……」
おぉぅ……。
ダチすら超えて親友だと思っていたのは俺だけだったのか……。
しばらく立ち直れな……
「でもま、拯と一緒にいると飽きないのは確かだな」と結揮。
「認めたくはないがな」と玲人。
「二人とも素直じゃない……」と彰。
「そういう彰もな」と再び結揮。
「仕方がないだろうが」と再び玲人。
「自分達は捻くれているからな……」と再び彰。
「うお~!!!」
立ち直れたぁ~!!
そうかそうか、三人とも照れているだけなんだな!!
やっぱ俺達は親友だよな!!!
俺と一緒にいると飽きない=俺と一緒にいると楽しいってことだよな!!
そうかそうか、俺と一緒だと楽しいのかぁ~。
フフフ……。
「相変わらず思考がもろに顔に出るな。騙されやすいし」と、こそこそ言う結揮。
「ちょろい」と、返す玲人。
「拯の不気味な笑いと、にやけ顔のコンビはきつい……」と、しかめっつらする彰。
「クックックックッ……」
「「「………」」」
※拯がトリップしてしまったので、ここからは第三者の視点です
人目を憚らず、不気味な笑いを声に出し始めた拯。
更にはガッツポーズをしつつ回ることを、歩きながらするという高等技術にまで昇華させている。
……ぶっちゃけ、ただの危ない人である。
そんな拯に、おもいっきりドン引きする三人。
このままでは埒が明かないと思った三人は……
「と、とりあえず、現実に戻って来させるか」
結揮が顔を引き攣らせながら言う。
「任せろ。…拯、戻れ」
玲人は慣れた様子で、拯の頭をかなり勢いよく叩く。
バシッ!!ドベシャッ!!
勢いがよすぎて地面とディープキスをする拯。
「世話が焼ける……」
こちらも慣れた様子で、彰は拯を地面から引き剥がす。
見事な連携プレーだ。
「あれ…?俺は何を…?」
※無事(?)トリップから戻ってきたので再び拯視点に戻ります
うお~!!!と叫んだところまでは覚えているんだが、そこから先の記憶がない。
俺、何してたんだ……?
「ほ、ほら、秘密基地について話そうとしてただろ?もったいぶってないで、早く話せよ!!」
どこか慌てた様子で結揮が急かしてくる。
そうだったっけ?
……まぁ、いいか。
早く話さないと玲人に何されるか分からないしな。
今だって怖い顔で睨ん――
「俺が、何だ?」
「何でもないですっ!!!」
――今日も玲人様は素敵な笑顔です。
「い、今、玲人、殺気出してたよな?」
「あぁ。言葉を区切ることで、更に威圧感が増していた……」
「絶対、敵にまわしたくないな」
「同感だ……」
結揮と彰が何か話している。
俺も混ぜてほしい……。
「拯、話せ」
「は、はいっ!!」
うぅ、玲人が怖い……。