表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強者どもは四人いる  作者: 麟凰
序章
15/18

15 秘密基地 Side彰 ③

へこんでいる拯には一切構わず、結揮はダルそうに聞く。

玲人は眠そうに欠伸をしながら、容赦なくはっきりと言い放つ。



「面倒だ……」



そして自分は眉間に皺を寄せ、声だけでなく顔全体でも面倒だと主張する。

自分達のそんな態度に不安を感じたのだろう、拯が友情を恐る恐る確認してきた。

友達……。



「「「一応」」」



自分達の返答を聞いて拯が落ち込んだ。

勘違いしているのか?

『親友』は『友達』の範囲に入ると思ったから、一応と言ったんだが。

拯には意味が伝わらなかったようだ。


結揮と玲人が目配せをしてきた。拯で遊ぶのか。

……二人ともいい笑顔だ。

結揮、玲人、自分の順で発言していく。

結揮も玲人も演技するのが上手い。

「二人とも素直じゃない……」

「自分達は捻くれているからな……」

自分はこの二言だけしか言わなかったが、ボロが出ないようにするだけで精一杯だ。

二人の息ピッタリな即興演技に、しっかり合わせる事が出来る自分については気にしない。

そう、気にしてはいけない。


拯はニヤニヤしながら立ち直った。

色々と誤解しているようだ。

拯を横目で見ながら、三人でひそひそ話す。



「拯の不気味な笑いと、にやけ顔のコンビはきつい……」



二人に続けて、自分はしかめっつらをして言った。



「クックックックッ……」



不意に怪しい笑い声が聞こえ、そちら()の方を見た。

……高等技術を習得した、危ない人がいる。



「「「………」」」



自分達は黙り込み、拯と目が合わないよう微妙に視線を外す。

関わりたくないが、このままにしておくわけにもいかない。

結揮は顔を引き攣らせながら、拯を元に戻そうと提案してきた。

賛成した玲人は、自然な動きで拯の頭を勢いよく叩く。


バシッ!!ドベシャッ!!


……強くやりすぎだ。

勢いがつきすぎて、拯が地面とディープキスをする。

拯だから放っておいても大丈夫だとは思うが、一応無事を確認してみるか。



「世話が焼ける……」



拯を地面から引き剥がす。

拯の記憶が途中から途切れているらしい。

玲人は知らん顔をしている。

結揮は拯の意識を違う方へ持っていこうと、秘密基地の話をする。

拯は結揮の策にあっさりと引っ掛かった。

……気にした方がいいと思うぞ、拯。


玲人の方を見た拯の目は何か言いたそうだ。

あの目は、『早く話さないと玲人に何をされるか分からない』と言っている。

自分が拯の心境を分かるという事は、鋭い玲人も当然分かるという事になる。

そっと玲人を見――なければ良かった。怖すぎる……。

恐怖を紛らわすため結揮とこそこそ話し、結揮の確認に賛同する。



「あぁ。言葉を区切ることで、更に威圧感が増していた……」



玲人の殺気と威圧感は、生命(いのち)の危機を感じる。

結揮の言葉を聞き、



「同感だ……」



と頷く。

拯が目で助けを求めているが、気付かないフリをする。

拯に悪いとは思うが、今の玲人には近付きたくない。

もとはといえば拯が原因なのだから、責任を取ってもらわないと困る。

犠牲になってくれ、拯。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ