15 秘密基地 Side彰 ③
へこんでいる拯には一切構わず、結揮はダルそうに聞く。
玲人は眠そうに欠伸をしながら、容赦なくはっきりと言い放つ。
「面倒だ……」
そして自分は眉間に皺を寄せ、声だけでなく顔全体でも面倒だと主張する。
自分達のそんな態度に不安を感じたのだろう、拯が友情を恐る恐る確認してきた。
友達……。
「「「一応」」」
自分達の返答を聞いて拯が落ち込んだ。
勘違いしているのか?
『親友』は『友達』の範囲に入ると思ったから、一応と言ったんだが。
拯には意味が伝わらなかったようだ。
結揮と玲人が目配せをしてきた。拯で遊ぶのか。
……二人ともいい笑顔だ。
結揮、玲人、自分の順で発言していく。
結揮も玲人も演技するのが上手い。
「二人とも素直じゃない……」
「自分達は捻くれているからな……」
自分はこの二言だけしか言わなかったが、ボロが出ないようにするだけで精一杯だ。
二人の息ピッタリな即興演技に、しっかり合わせる事が出来る自分については気にしない。
そう、気にしてはいけない。
拯はニヤニヤしながら立ち直った。
色々と誤解しているようだ。
拯を横目で見ながら、三人でひそひそ話す。
「拯の不気味な笑いと、にやけ顔のコンビはきつい……」
二人に続けて、自分はしかめっつらをして言った。
「クックックックッ……」
不意に怪しい笑い声が聞こえ、そちらの方を見た。
……高等技術を習得した、危ない人がいる。
「「「………」」」
自分達は黙り込み、拯と目が合わないよう微妙に視線を外す。
関わりたくないが、このままにしておくわけにもいかない。
結揮は顔を引き攣らせながら、拯を元に戻そうと提案してきた。
賛成した玲人は、自然な動きで拯の頭を勢いよく叩く。
バシッ!!ドベシャッ!!
……強くやりすぎだ。
勢いがつきすぎて、拯が地面とディープキスをする。
拯だから放っておいても大丈夫だとは思うが、一応無事を確認してみるか。
「世話が焼ける……」
拯を地面から引き剥がす。
拯の記憶が途中から途切れているらしい。
玲人は知らん顔をしている。
結揮は拯の意識を違う方へ持っていこうと、秘密基地の話をする。
拯は結揮の策にあっさりと引っ掛かった。
……気にした方がいいと思うぞ、拯。
玲人の方を見た拯の目は何か言いたそうだ。
あの目は、『早く話さないと玲人に何をされるか分からない』と言っている。
自分が拯の心境を分かるという事は、鋭い玲人も当然分かるという事になる。
そっと玲人を見――なければ良かった。怖すぎる……。
恐怖を紛らわすため結揮とこそこそ話し、結揮の確認に賛同する。
「あぁ。言葉を区切ることで、更に威圧感が増していた……」
玲人の殺気と威圧感は、生命の危機を感じる。
結揮の言葉を聞き、
「同感だ……」
と頷く。
拯が目で助けを求めているが、気付かないフリをする。
拯に悪いとは思うが、今の玲人には近付きたくない。
もとはといえば拯が原因なのだから、責任を取ってもらわないと困る。
犠牲になってくれ、拯。