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魔王、準備を怠らない

 魔王城の前に、魔物たちが整列していた。

 全員が黒い甲冑を身に着け、どこから見ても精鋭に見える。


「いやぁ、壮観だね」


 コウイチはその光景に素直に感心した。


「赤揃えの甲冑もよかったけど、魔王って言ったら……やっぱり黒かなって」


 レリィが満足そうに頷く。


「すばらしいです。統一感がありますし、威圧感も十分ですね」


「だよね。『魔王軍です!』って一発で分かる」


 そのとき、セレスが小さく咳払いをした。


「一点だけ」


「なに?」


「黒は汚れが目立ちます。整備担当が地獄を見る配色です」


「そこ、現実的すぎない!?」


 牛山が静かに頷く。


「既に磨き要員のオークが、城の裏で泣いておりますな」


「泣いてるの!? え、オークって泣くんだ!?」


 レリィは微笑んだ。


「泣きますよ。働かせれば、だいたい泣きます」


「ブラックすぎる!」


 レリィが一歩進む。


「それでは次は、どうなさいますか?」


「そうだね。まずは敵の情報を集めないと」


 コウイチは腕を組み、少しだけ真面目な顔になる。


「戦いは準備が八割って……昔聞いた気がする。戦うからには、勝てる確信を持ってからにしたい」


 セレスが即答した。


「賛成です。魔王様が前線で槍を折る必要はありません」


「槍を折るのは僕の仕事じゃないんだよ」


 牛山が胸を張る。


「槍は折るものではなく、折らせるものです」


「哲学みたいに言うな!」


 一か月後。


「勇者は皇国周辺で魔物討伐や特訓を重ねて、鍛えているようです」


 報告役の声は淡々としている。


「まだ育成途中のようなので、攻めるなら今かと」


「うーん……」


 コウイチは顎に手を当てて唸った。


「攻めるのはいいけど、もしものためにもう一手、絡み手も用意したいよね」


「と、申しますと?」


「勝てる戦争を、より勝てるようにするってことさ」


 セレスが眼鏡を押し上げる。


「つまり、勝率を上げたいと」


「そうそう。勝率は大事」


 牛山が真面目に確認する。


「勝率……九割ほどでよろしいでしょうか?」


「いや九割でも十分高いけど、できれば……」


 レリィがにこやかに追撃した。


「では、確定勝利を目指しましょう。魔王様は“ガチャ”で鍛えられたお方ですから」


「それ、褒めてる? 僕、ガチャで強くなったわけじゃないよ!?」


 セレスが冷たく言う。


「結果的に、国はガチャで回りました」


「そこ、認めたくない……!」


 コウイチは深く息を吐き、決意したように言った。


「……よし。勝てる戦争を、もっと勝てるようにする。

 その“絡み手”、考えよう」


 レリィは嬉しそうに頷く。


「前向きでよろしいですね」


 セレスが小声で付け足した。


「なお、絡み手の大半は面倒です」


「そこは黙ってて!」

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