光の中で、剣と想いを
帝都の騒乱は収まり、王自らの命で国の中枢を蝕んでいた陰謀は暴かれた。
ユリウスとレイナは城の一室で、報告を終えたところだった。
「……やっと、終わったんだな」
ユリウスは安堵の息をつくと、窓から差し込む陽の光を見上げた。
その光は、あの森で彼が絶望の中にあった頃には想像もできなかったほど暖かく感じられた。
「だが、これからだぞ。
国も、私たちも──」
レイナは彼の隣に立ち、少し照れたように口元を引き締めて言った。
「……お前、私に料理を教えてくれる約束、まだ果たしていないからな」
ユリウスはぽかんとした顔をした後、不意に吹き出した。
「……はい、もちろんです。レイナさんが、望むならずっと一緒に作りますよ」
そのとき、扉の向こうから王直属の騎士が告げに来た。
ユリウスは正式に名誉を回復し、王の剣士として仕えることを許されたのだ。
さらに、レイナもその功績で帝国騎士として招かれることが決まった。
「私と……同じ場所で?」
「ああ。今度は隣で戦える。もう誰も、お前を“女だから”なんて言わない。
レイナさんは、最強の剣士ですから」
レイナは思わず目を丸くした。
そして少しだけ俯き、恥ずかしそうに笑った。
「……お前、本当に変わったな。初めて会ったときは、情けない顔をしていたくせに」
「レイナさんのおかげです。……レイナさんが、強くあってくれたから」
ふたりの間に言葉が止まった。
互いを見つめ、視線が絡む。
「レイナさん……俺は、剣だけじゃなく、心もあなたと一緒にありたい」
ユリウスは静かに手を伸ばした。
レイナは迷いなくその手を取り、ぐっと引き寄せた。
「なら、お前が諦めない限り、ずっと隣にいてやる」
大理石の廊下に、ふたりの笑い声が静かに響いた。
戦い続けた日々の中で、剣よりも強く結びついた心。
これからどんな困難があっても、ふたりで向き合っていける。
光に満ちた帝都の空を見上げながら──
最強の剣士レイナと、心優しき元近衛ユリウスは、新たな人生を歩み始めた。
──そして、ふたりの物語は未来へと続いていく。




