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帝都へ、真実の剣を

帝都の城門は、荘厳な装飾が施され、威圧感を放っていた。

 その前に立ったレイナとユリウスは、互いの手を固く握り合う。


「……ここから先が本当の戦いだ」


「はい。もう、どんな運命も受け止めます。レイナさんと一緒なら……」


 二人を導くように、女騎士と兵士たちは馬を進めていく。

 帝都の街並みは活気に満ちていたが、彼らが通るたびに道行く人々は緊張した面持ちで道を開けた。


 そして、巨大な城門を抜けた先に、玉座の間へと続く大理石の階段がそびえていた。


 


「王はすでに待っておられる。遅れるな」


 女騎士が冷たく告げ、レイナとユリウスは城内を進んだ。

 重い扉が音を立てて開き、二人は玉座の間に足を踏み入れる。


 そこには、絢爛たる衣装をまとった王がいた。

 白銀の髭を蓄え、老齢ながら鋭い目を光らせている。

 彼の左右には高官たちが控え、沈黙の中に重苦しい空気が漂っていた。


 


「ユリウス。……よくぞ戻ったな」


 王の声は低く、威圧感を伴って響いた。

 玉座の間の空気が一層張り詰める。

 ユリウスはぐっと膝をつき、頭を垂れた。


「王よ……私は真実を知ってしまいました。

 王族に連なる者たちが民を裏切り、国を貶める陰謀に関わっていたことを!」


 ざわっ──と、重臣たちがざわめく。

 王はわずかに目を細めた。


「その真実を、何者が語ったのだ?」


「亡き近衛隊長です。彼は最期に、王をお救いしたいと告げ、証拠を私に託しました」


 ユリウスは腰の袋から古びた文書を差し出した。

 女騎士がそれを受け取り、王へと渡す。


 


 重い沈黙の中で、王は文書を開いた。

 やがて王の顔が険しくなり、静かに顔を上げる。


「確かに、これが事実ならば……我が王家の名において、全てを正さねばならぬ」


 その言葉に、重臣たちが動揺し始める。

 そのうちの数名は顔を青ざめ、視線を泳がせていた。


「王よ! 彼の言葉など、罪人のものにすぎませぬ!」


「そうです! これは陛下を惑わす謀略です!」


 


 しかし、王が静かに手を上げると、全ての声がピタリと止まった。

 王はユリウスを真っ直ぐに見据えた。


「……貴様の覚悟は、剣の覚悟か。それとも、逃げた男の戯言か?」


 その問いに、ユリウスはゆっくり立ち上がり、短剣を抜いて掲げた。


「これは、私がレイナさんと共に誓った剣です。

 私はもう逃げません。私の全てを賭けて、真実を明かします!」


 


 玉座の間に鋭い剣気が漂う。

 そして、レイナも王へ向かって剣を掲げた。


「私も同じだ。ユリウスを信じ、その剣を信じる。

 たとえこの国を敵に回そうとも、彼の覚悟を汚す者は、この剣が斬る!」


 王は二人の姿を見つめ、ゆっくりと頷いた。


「……ならば見せよ、貴様らの剣を。

 王家を穢した裏切り者どもを、この場で討ち果たすがいい!」


 


 次の瞬間、王の号令が響き渡り──

 背後にいた衛兵たちが、ざわめいていた重臣の中へと突入する。

 逃げようとした数名の貴族が捕えられ、悲鳴が玉座の間にこだまする。


「これで……終わるのか……?」


 ユリウスが呟いたそのとき。

 王は重くも穏やかな声で告げた。


「ユリウス。そして貴様、剣士レイナ。

 貴様らの勇気は王家に光を取り戻した。

 その剣と心を、国の宝とすることを誓おう」


 


 静寂が訪れた玉座の間で、ユリウスとレイナはお互いを見つめ合い──

 小さく笑い合った。


「レイナさん……ありがとう」


「お前こそ……よくやったな。誇れ、ユリウス」


 互いの手が、誓いのように強く結ばれていた。

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