8話 水の国 メロウ
長い髪と低い身長を持つレングスを持っている可能性がある少年フィオと最強の能力のレングスを持つヌイアのこれから待ち受ける運命に抗う冒険が今始まる
水の都市 メロウまでの間フィオとヌイアは馬車に乗り、荷台で揺られている
メロウまでは何日間はかかるだろう
「ねぇフィオ、メロウに着いたら何したい?」
ヌイアはフィオにパンと水を渡す
「とりあえず休みたいですかね~馬車の中じゃなくて快適な所で、それにメロウの美味しいもの食べたいです」
フィオはパンを受け取り、小さくは一口サイズにして食べる
「貴方って本当マナーは良いわね、マナーの前に他の物を知るべきだと思うけどね」
ヌイアはパンを噛る
時間が経ち•••
「そろそろ着くわよ」
「ようやくですね、3日もかかるなんて思ってなかったですよ」
フィオは気分が悪いようだ、3日間も馬車に乗り揺られていたのだ、無理もない
「フィオはダメダメね、早く国に入るわよ」
ヌイアはフィオを支えて城壁を通る
ヌイアは手続きを終わらせ、メロウに入る
そこに広がっていたのは水の水路が蜘蛛の巣のように広がっており、町はおしゃれで活気がある、今の自分達が住んでいる王国とは大違いだ
「すごい綺麗な所ですね、最初は何しますか?」
フィオは見たことない景色に目を輝かせながら言う
「まず私の親友に挨拶しに行くから着いてきて」
ヌイアはフィオの手を取り、連れていく
少し歩くと個人で経営してるだろう診療所に着く、診療所には驚くほど長い行列があり、30人はいるように見える
「今日も繁盛してるわね、流石だわ」
ヌイアはその様子を当たり前かのように軽く言う
「ヌイアの友達凄すぎません?とっても腕が良い医師なんですね」
フィオは行列を信じられないと言う目で見ている
「まぁね、私の友達だから当たり前よ」
ヌイアはまるで自分のことのように自慢げに語る
「それでどこから入るんですか?並ぶんですか?」
フィオは少し不安そうに言う
「まさか、そんなことしたら1時間はかかるわよ」
「いま1時間っていいました!?どんなに早いんですか!」
フィオは驚いた様子で行列を再び見る、確かに一人あたりの診療時間は短く、1時間と言うのも無理はないかも知れないと感じる速さだ
「私達は裏口から入るわよ」
ヌイアはフィオを連れて裏口に入るとオフィスのような所に着く、そこには書類の山とベッド以外には何もない部屋だ
「もう来たのかしら?今は忙しいから少し待ってね」
そこに居たのは青く長い髪が特徴的な白衣を着た女性だった
女性は診療室に向かう
「彼女の名前はアスクレー、レングスを持っていて能力は死ななければどんな怪我でも治せる力よ……副作用と本人の性格がすこし問題ね」
ヌイアは呆れたように言う
「問題……?」
「まず副作用で治療には自分の体力を使うの、全身骨折なら2日は動けないわ」
「でも全身骨折でも治せるって強すぎませんか?最強の能力ですよ」
「まぁ難点があるなら消えた物は治せないわ、私のブラックホールの剣とかね」
「それと……フィオ、気をつけなさいね、彼女は間違いなく貴方を狙うわ」
ヌイアは呆れたように言う
「どうしてですか?」
「アスクレーは言ってしまえば小さい子が好きなの、それが好きなだけならいいけど…まぁ強い愛を持っててね、ショタコンとロリコンってやつね」
「え~と……ショタコンとロリコンってなんですか?」
フィオは頭を傾げると長い髪が揺れる
「子供がとてつもなく好きな人のことよ、貴方は知らなくていいわ」
ヌイアはフィオにショタコンとロリコンの事を言ったことをすこし後悔しながらアスクレーを待つ
「お待たせしました、もうくたくたですわ」
アスクレーは青い髪を揺らしながらソファーに座る
「久々だなアスクレー、最後に会ったのはいつ?少なくとも1年は立ってるでしょうね」
「確かそれぐらいですわよ、それより…その可愛い少女は?」
アスクレーはフィオに顔を近寄せ顔を見る
「彼はフィオよ、言っておくけど19歳の男だわ」
「そうなんですの!?とても可愛らしいので……つい」
アスクレーはフィオを隣に座らせ可愛がる
「それで本題を話すわね」
ヌイアは真剣な顔に戻し、話をはじめる