7話 出発
前回のあらすじ
フィオはヌイアに弟子入りを願う
ヌイアはフィオに条件付きでの弟子入りを認め
新たな敵 五神騎士団 についてフィオは知る
あのダンジョン攻略から数日後……
「ねぇフィオ?そこ掃除しといて」
フィオはヌイアのお手伝いのようになっていた、今ではフィオはヌイアの家の掃除や買い物などをする日々だ
「本当にこれで五神騎士団を倒せるの?」
フィオは散らかっている部屋の掃除をしながら言う
「そうよ、それに五神騎士団は出てくるの待たないとだしね」
ヌイアはフィオを利用して快適に暮らそうとしているのが誰が見てもわかる
「それに家を提供してるんだから感謝してよね?フィオが可愛い弟みたいな存在だからしてるのよ」
フィオは酒場で弟子入りした日からヌイアの家に住み込みでヌイアの命令に従い仕事をしている
「それにしても自分がくる前はちゃんと掃除とかしてたんですか?」
フィオが疑うのも仕方がない
フィオがくる前の家はそこらへんにゴミや食器などが置かれており、綺麗とはお世辞でも言えない部屋だった
「失礼ね、してるわよ……少しだけ」
ヌイアは少し自身がなさそうにいい、誰が聞いてもちゃんと掃除をしてないと言ってるようなものだ
「ところでフィオ、貴方に聞かないといけないことがあるの」
ヌイアは先程の態度から代わり真剣な表情になる
「なんですか?ヌイアが真剣な顔してるの珍しいですね」
「失礼ね…それでダンジョン攻略の依頼の時の話になるの、貴方の戦い方を見てたの」
「それがどうしたんですか?」
フィオは掃除をする手を止め、ヌイアの方に顔を向ける
「フィオ…貴方は知らないかもしれないけどきっと貴方はレングスを持っているわ」
フィオはその言葉を聞くと驚く、レングスはこの世に少ししか無いとされており、しかもそのような力を自分で気がついていないからだ
「貴方のスピード、あれは人間のできることじゃないわ、きっと貴方はとてつもないスピードのレングスを持っているわ」
「そんなこと…あり得ませんよ、レングスはこの世に少ししか無いんですよね?」
「そうね、ただ貴方は持っているわ、これははっきり言える、レングスには副作用があるものがあるから気をつけなさい」
「はい、話はここまで、早く掃除してね」
フィオは掃除を再開する、ヌイアの言ったレングスを持っていると言う言葉が頭から離れず、集中できない
「フィオ、集中しなさい、掃除を終わらせたら外出しないといけないから」
ヌイアは準備を開始している、装備には大量の食料や水があり、相当長旅であることがわかる
「一体どこに行くんですか?」
ヌイアはその言葉を聞くとフィオの方を向く、その顔には少しの笑みがあった
「私達が行くのは水の都、メロウよ、綺麗な水路がある、まぁ私達のいる国じゃなくて別の国ね」
「だからそんなに大荷物なんですね、何しに行くんですか?」
「フィオが私の家で住み込みで働……修行するならいろいろ必要なものがあるでしょ」
「今働くっていいましたよね!?本心見えてますよ!!」
ヌイアはフィオのその言葉に手を口に当てて笑う
「でも…自分の物を買うならどうしてそんなとこまで行くんですか?」
ヌイアはその言葉を聞くと真剣な顔になる
「五神騎士団はこの国のどこかに隠れている、見つかるわけにはいかないの」
「だからそこまで……でも五神騎士団はヌイアの事を敵と知ってるんですか?」
「さぁね、リスクは少なくした方がいいのは確かよ」
ヌイアはフィオの手を取り、町に向かう
町に着くと馬車が止まっており、どうやらフィオとヌイアを待っているようだ
「この馬車に乗るの、これでメロウに行くわ」
フィオ達は馬車に乗り、メロウに向かう