33話 支えて
「アタシのレングスを舐めないで!!アタシは私の見た目を見た者を操れるの!!お前なんかすぐ魅了し直せるのよッ!!」
ディーテはアスクレーの方に歩くとアスクレーは目が虚ろになる
「見たでしょ!？これがアタシの本気、さぁ、その顔を見せなさい!!」
ディーテは下を向いているフィオの顔を上げようとする
ディーテはフィオの顎を掴み上を向かせる
（勝った……誰も私の魅了には勝てない）
ディーテが勝ちを確信していると……
「お前に勝つのに……目なんかいらない」
ディーテの腹に鋭い一撃が入る、深い一撃が入り血が溢れる
ディーテは焦った様子でフィオを見るとディーテは驚愕する
「何をしてるの!？バカなのかしら!？」
フィオの目には切った跡があり、前すら見えていない
「音さえあれば……お前は切れる、傷なんかアスクレーに頼めばいくらでも治せるさ」
フィオは刀を鞘に収め耳を研ぎ澄ます
ディーテは兵士の槍を奪うように持ち、足音を消しながらフィオに近寄る
少しでフィオに槍を刺せる……そんな瞬間
「そこか、本当にバカなんだな、お前」
ディーテはその言葉に驚き、急いで槍を刺そうとする
「そこにいるんだね、焦ったせいで足音が聞こえた、ありがとう」
フィオは刀を抜刀して気がつくとディーテの後ろにいた
「何が……アタシに起きたの……？」
「神速一閃……お前は死んだことにすら気がつかない」
ディーテの体から血が滝のように溢れ血の雨が降る
ディーテは倒れ、操られていた人々は元に戻る
「フィオ……フィオ君」
アスクレーはフィオに近寄る
「アスクレー、大丈……」
フィオは石に足が引っ掛かり転けそうになる
だがアスクレーに支えられる
「馬鹿……無茶しすぎですわ……可愛い顔に傷なんか付けて」
アスクレーは少し泣きながら言う
「ごめん……見ただけでダメらしいから」
アスクレーはフィオの傷をレングスで治癒すると寝てしまう、そもそも体力が少ない状態で目と言う大切な部位の傷な為消費が激しかったのだろう
フィオは倒れるアスクレーを支えて病院に連れていく
町に吹いていた雪はすっかり消えていた
「ありがとう、アスクレー」
