30話 戻りたい
ヌイアは気がつくと華やかで豪華な部屋にいた
だが、その華やかさの裏には、居心地の悪さが隠れていた。壁に飾られた王家の紋章は誇らしげに輝いているものの、部屋の空気は冷え切っており、どこか硬質で乾いた風が漂っているようだった。
寝台は大きく、繊細な刺繍の布団がかけられているが、冷たい視線の痕跡が染み付いていた。彼女がここにいることは許されているようでいて、心から歓迎されてはいないことを、部屋の隅々が語っていた。
「おはようヌイア、今日も遊びに来ちゃった」
誰かが部屋のドアが開けながら入ってくる
「この……声…お兄様」
ヌイアはお兄様と呼ぶ人物の方を向く
顔はシュッとしており、イケメンと言う言葉が似合う
「毎回言ってるだろう?お兄様じゃなくてレイアと名前で呼んでよ」
レイアは優しく微笑む
「うん……レイア」
突然空間は崩れる
「感動の再開の中ごめんね?お姉ちゃん」
そこに立ってたのはオネイスだった
「何を……させたいの……こんなこと」
ヌイアは恐怖で立てない
「簡単だよ、お姉ちゃん達の依頼主を探すために記憶を見る、まぁ終わったらフィオの夢見せて上げるよ、それにしても可哀想な過去だね、同情するよ」
オネイスはそう言う
「私の……過去を……見たの」
「見たよ、レングスの能力も依頼主もね、まさか驚きだよ、まぁそんなに恐怖しないで、僕は提案をしに来たんだ」
ヌイアは怯えている
「提…案?」
「そう、簡単な提案、これを飲んでくれたら依頼主もレングスの力も誰にも言わない、その代わり……」
「僕にフィオを頂戴?」
「ふざけ……ないで……フィオは…私の」
オネイスは残念そうに言う
「そうか、残念だね、まぁ夢の中でフィオに会わせて上げるからそんなに恐怖しないでね」
(また……守れないの……私は)
「ヌイア!!危ない!!」
ヌイアには過去の映像が頭に浮かぶ
レイアの腹部からは血が溢れ、回りにが血塗れになる
「バカやろう!!ソイツじゃなくて後ろの女を殺したら100ゴールドだぞ!?その男は殺すターゲットじゃない!!」
男の一人が焦った様子で言う
「仕方ねぇだろ!!こいつが庇ったんだから」
男達は言い争いをしてあり、ヌイアには目を向けない
ヌイアは急いでレイアに駆け寄り支える
「ごめ…んね……ヌイア…………生きて」
そう言うとレイアは倒れる
(また……二人で遊びたい……あんな家の…唯一の優しかった人なのに…もし……過去に戻れたら……良いのに)
「お兄様にまた……生きて会いたい……過去に…戻りたい」