18話 稲妻の様に
「私のレングスの正体……それは……」
ヌイアが口を開こうとした瞬間何かが近寄ってくる
その顔を見るとフィオ達は戦闘準備をする
「あれで生きてるとは驚きだ、貴様ら」
そこにいたのはセイドだった
セイドは大剣を持っており、どうやら本気のようだ
「覚えてるか?家族達を殺されたときの痛み?また味あわせてやるよ……何度でもな、フィオ」
セイドは大剣を地面に刺すと震動がこちらまで来る
フィオ達は倒れそうになるが耐える
セイドのレングスは地震……それと水を操るレングスだ
「話は後にしよう、ヌイア」
フィオは刀を抜刀する
ヌイアもブラックホールの剣を作り出す
「私に策がある、貴方は好きに戦いなさい」
ヌイアはフィオにしか聞こえないように呟く
「……わかった」
セイドは津波を起こす、その津波はこちらにやってきておりこのままだと飲み込まれてしまうだろう
「頼むぞ」
「わかったわ」
ヌイアは頼むの言葉だけで意図を理解してブラックホールの大剣で波を切る
「私は攻撃力特化、スピードはでない、アイツを倒せるのは貴方だけよ、フィオ……貴方のスピードがこの勝負の鍵だわ」
フィオはセイドに向かって飛び出す、そのスピードは水の上を走れる程だ
「ッ!!……驚いたぞ?フィオ……だが」
突然後ろからセイドは刺される
刺したのは目の前にいるはずのフィオだった
セイドの腰からは血が垂れる
「これ……は……残像なのか!?」
セイドは驚いた様子で離れる
「お前は……死んだことにすら気付かせない」
セイドはその言葉を聞くと怒りで顔が歪む
彼が攻撃を受けたのは初だったのだろう
「舐めたことを言いやがって!!糞ガキどもが!!」
セイドは大きな揺れを起こす
「新技を使うときみたいだね」
フィオはそう言うと刀を鞘に戻した
(実践では成功させてはいない……初めての成功を……セイドに撃ち込む!!)
フィオはとてつもないスピードでセイドに近寄る
セイドは攻撃を防ごうとする……だが
「神速……乱れ咲き!!」
フィオは1秒間に100以上の攻撃を行う
そのスピードは稲妻の様に速く、目では捉えきれない
地面は削れており、回りにセイドの血が飛び散る
聞こえるのはセイドの叫び声だけだ
「ふざけるな!!糞ガキがこの俺を誰と思ってる?五神騎士団副団長セイド様だぞ!!?攻撃を今すぐやめろ!!これは命令だ!!」
フィオは攻撃の手を緩めることなく超スピードの攻撃を浴びせ続ける
10秒程立つとフィオは攻撃をやめる
そこには肉の塊と大剣が落ちていた
セイドのレングスが光り、フィオに宿る
「これも……全部家族の……みんなの分だ」
フィオは涙をながら肉片を見る
大地はひび割れ、海の怒りが引いた跡には、黒ずんだ波と砕けた岩が残っていた。焼け焦げた空気に、雨のように舞い散った灰が静かに降る。
遠くで鳥の影が飛ぶ。けれど、風の音以外に、何も聞こえない。まるで時が止まったかのように音のない静寂が、終わりを告げる鐘のように広がっていく。
ヌイアはフィオの肩に手を乗せる
「頑張ったわね……お疲れ様」
フィオは刀を鞘に納める
「フィオくん……! 無事……なのね?」
アスクレーはフィオに近寄る
「うん、傷もないよ……それで……ヌイアのレングスの正体は……何なの?」
「……私のレングスの能力名は……時の覇者」