15話 ルナ アスクレー
22年前 名家のアスクレー家に元気な女の子が産まれた
女の子はアスクレーと名前を付けられた
アスクレーは元気に育ち、医療学校に入る
父と母は医者でアスクレーもその道を進むことが決まっていた
ワインの匂いが漂い、シャンデリアが揺れる部屋にアスクレーは入る
「ルナ流石だな、今回も48点か、この調子だぞ」
アスクレーの父はアスクレーを褒める、高貴な印象があるが柔らかく、話しやすい、父は名医でレングスの力で患者を治療していた
「ありがとうございます!!お父様」
アスクレーは優雅に礼をする、その動きは洗練されており、完璧だ
アスクレーは父が大好きだった、厳しくも優しい性格で誰からも慕われていた
アスクレーは19歳になると父と母の経営している診療所を継ぐ事になっていた
アスクレーは困っている人を放っておくことができない性格で子供や年寄りなどを助けている心優しい少女だった
アスクレーの回りには助けた子供が集まり、アスクレーと遊ぶのが日常に組まれるほどだった
そこから今の性格になったのかもしれない
19歳になると事件が起きる
家に盗みが入るのだ
アスクレーの家は大きく、高額で売れる物もたくさんあるだろう
「まて!!泥棒!!」
警備員が泥棒を追う、泥棒はナイフを持っていた
泥棒が角を曲がると
次の瞬間、辺りに血が垂れる
ポタ……ポタと血が垂れ、何かが倒れる音が響く
真っ白のカーペットは赤く染まり、苦しむ声が聞こえる
その声の主の正体は父だった
アスクレーは泣くことしか出来なかった
「お父様!!お父様!!起きてください!!」
アスクレーの涙は父の顔に垂れる
泥棒は警備員により捕まるがアスクレーは父の事で頭が一杯だ
「ルナ…すまないな……」
父の意識は浅くなる
「生きて!!お父様!!」
アスクレーは必死に応急処置をするが意味はない
部屋は呼吸の音しか聞こえない、それも一人の
「お父……様生きて…ください」
カーペットには血と涙が滲んでいる
その時レングスがアスクレーに宿る
能力は回復、父を治したいと言う願いからだろう
それはレングスがアスクレーに宿った瞬間不可能になったことを示す
瓦礫の山を森の中からアスクレーは見ている
また守れなかった……それしかアスクレーの頭にはなかった
「また……また」
アスクレーは涙ながらに町を見ていると森の中から音が聞こえる
何かが近づいている、そんな音だ
「誰ですの……?」
アスクレーは震える声で問う
「はぁ……はぁ……大丈夫?……アスクレー」
そこには怒りと悲しみの顔を浮かべたヌイアがいた