14話 過酷な運命
フィオはひたすら剣で兵士を切る
「これじゃない……更に早く……早く出来るようにならないと」
フィオは兵士の攻撃を軽く受け流しながら更なる速さを求める
「切られたことにすら気付けないほどの攻撃を!!」
フィオは兵士をとてつもないスピードで切るが兵士は悲鳴を上げる、フィオの目標まではまだまだ遠い
時間が経ち、そこには死体の山が完成している
血の匂いが回りに充満しており、フィオはその上に立っている
そこに人がやってくる
「まさか貴様がここまで強いとは思わなかったよ」
セイドは拍手しながら近寄る
「だが……お前はここで死ぬがな」
(ッ!! 何故だ!!本来ここでは……)
フィオは咄嗟に攻撃を防ぐ
「お前の家族や村の奴らは今はどうなってると思う?」
(ここは変わらないのか…)
フィオは過去を思い出す
この後本来はセイドに連れていかれる家族や村の人がいる薄暗く、ゴキブリや蜘蛛が常にいる薄暗い独房に連れていかれる
「貴様の家族達はここだ」
「母さん!!皆」
「フィオ!!大丈夫なの?」
フィオの母は泣きながら言う
「俺は気にしなくていいから…皆は?」
村の人や家族はフィオが帰ってきた事に安堵している
「感動の再会はここまで」
セイドは安堵を遮るように冷たい声で言う
「貴様を連れてきたのは会わせるためじゃない」
セイドは牢屋の警備をしている4人の兵士に目配せをすると兵士は動き出す
二人はフィオを押さえ、もう二人は家族や地域の人を殺していく
「何をして……やめろ!!そんなことするんじゃない!!」
フィオは涙を浮かべながら必死に抜け出そうとするが兵士の力は強く抜け出せない
「お前は失ったときが一番輝いてるぞ?フィオ」
セイドは笑いながら言う
フィオはなんとか兵士から抜け出すが、もう既に家族達はいない、そこにあったのは肉の塊だけだ
「殺してやる!!この手で、必ず!!」
フィオは捨て台詞を吐いて逃げる
「いつでも来るといい?フィオ」
フィオは追ってくる兵士を素手で倒しながら逃げる
フィオの手には家族や兵士の血が大量についていた
何かを考える暇もない
(もう……こんな戦争……終わればいいのに)
フィオは思った
その瞬間兵士が持っていたレングスがフィオに宿る
早く終われば良いのにと言う願いから産まれたのは超スピードだった、皮肉にもその能力は戦い向きの能力だった
「こうなるはずなのに……どうして?」
フィオはセイドの攻撃を防ぎながら今の現状をまとめている
このセイドは本物よりも力もスピードもないが強敵なのには間違いない
「どうしてだと思う?教えて上げようか?」
突然声が聞こえる、女性の声だろう
その瞬間セイドは消え、戦場にいたはずなのに暗い何もない空間にいた
そこにいたのはフィオと謎の女性だった
髪は黄色で背丈は小さい、フィオと同じぐらいだろう
「僕は五神騎士団 オネイス、夢の案内人さ」
フィオはその言葉を聞くと刀を向ける