13話 過去
(これは……夢なのか?それとも……あの世なのか)
小さく貧乏な村、そこにフィオは産まれた
今フィオはもうこの世に存在しないはずの村に立っていた
「フィオ~!!早く来て、手伝いしてもらわないとご飯あげないわよ」
聞いたことがある声が聞こえた、それは母の声だった
「うん……今行くよ」
フィオは家に入る、そこは貧乏だが綺麗にできるだけ快適になるようにしており、フィオに対する家族の愛がわかる
「フィオ、あともうちょっと待ってね、そうしたら学校行かせてあげるから」
フィオの母は申し訳なさそうに、少し嬉しそうに言った
「うん……ありが……」
(この会話を……俺は知ってる、たしかこの後……お茶碗が落ちて破片を踏む……)
「母さん、お茶碗落ちるよ」
フィオはお茶碗を指差す
そうするといきなり揺れが起こりお茶碗が落ちる
「きゃっ!!」
母は驚き転けてしまう、その瞬間破片が刺さる
(!!…未来は変わらないのか……ならこの後は)
ドアをノックする音が聞こえる
(やっぱり……来たのか)
フィオは勢いよくドアを開ける、そこには不気味な笑みを浮かべている男……セイドがいた
「貴様がこの村唯一のガキか、貴様は戦争に来てもらうぞ」
(この後は母を脅しに使われて……村の人も)
「来ないなら……作戦があるぞ?」
フィオは咄嗟に母の方に走るが既に遅い
「感がいいガキだな、だがもう遅いぞ、そこから動いたら村のやつらの首がなくなるだろうな」
セイドは不気味な笑い声をあげる
(ここは夢か……それとも…どちらにしても今はやれることをするしかない)
「…わかった」
「いい返事だな、素直なガキは嫌いじゃないぞ」
フィオは目隠しをされ王国に連れていかれる
数日後になり
フィオは古い剣を持たされ戦場に向かう
そこには自分と同じように家族や大切な人を脅しの材料にされ、戦場に向かわされた人達がいる
ご飯はあるが硬いパンと汚い水があり、健康などは考えられていない、あくまでも使い捨ての兵士として戦場に連れてこられたのがわかる
(俺に今出来ること…運命は変えられないなら……せめて)
フィオは古い剣を取り、一人戦場に向かう
後ろからは同じく戦場に来た人の止める声が聞こえるがフィオは止まらない
「今の俺に出来ることは……セイドを倒す力を身に付けることだ」
フィオは敵兵士の元に向かう
そこには10人は兵士がいるように見える
「おいアイツ見ろよ?一人できてるぜ?」
敵の兵士はフィオを見て笑う
(新しい技を作る……これが今出来ること)