10話 再会の波
アスクレーは突然フィオの手を握る
フィオは思わず口にいれてたパンを丸のみにする
「びっくりした…なに?」
フィオはは空いてる手で水を飲む
「い……いつもヌイアと何をしてるんですか?…」
「ヌイアに頼まれたことをしてるだけだよ?」
(羨ましいですわ!!ヌイアと着いていけばこの子の顔と……もしかして自分も……一緒にお風呂…あーん……たまりませんわ!!…少し考えてもいいかも知れませんわ……)
アスクレーの鼻から赤い液体がだらだらと垂れる
「ちょ、大丈夫?」
「……ふふっ、フィオ君がベッドの中でこちらを見上げながら、『アスクレー、もうちょっとだけそばにいて』なんて……はわわわわわ……」
思わず椅子の上でくねくねと身悶えるアスクレー。
しかし、その様子をヌイアがテーブルの向こうから冷たい目で見ていた。
「……また変な妄想してるわね、アスクレー」
「ひゃっ!? ヌイア、いつから……!? これは、その、妄想ではなく精神的訓練ですわ! ヒーラーとして必要な!」
ヌイアはため息をつくと、静かに視線を逸らした。
「……フィオには、あまり変なことしないでね。私の弟子だから」
「……え、それってつまり、私がフィオ君にちょっかい出したらヌイアが嫉妬してくれるという……きゃああっ尊いっ!」
「……もうダメだこの人」
ご飯を食べ終わるとアスクレーはフィオの手を握り、レストランを後にする
「次はどこに行くつもり?」
「次はメロウで一番綺麗なところに連れていってあげますわ」
(綺麗なところにフィオ君を連れていってフィオ君が綺麗と言ったら…その瞬間に私がフィオ君の方が綺麗だと言う……完璧ですわ!!)
町の喧騒から少し離れた静かな一角。石畳の道を抜けると、花壇と木々に囲まれた小さな泉が現れる。泉は澄みきっており、中央から湧き水が静かにあふれている。
昔から「癒しの力がある」と言い伝えられ、地元の人々に大切にされてきた場所。午後の日差しが水面を優しく照らし、ほのかな花の香りと共に、穏やかな空気が漂っている。
「ふふっ、見てくださいな、フィオ君、ヌイア。ここ、とっても綺麗でしょう? 湧き水でね、癒しの力があるって昔から言われてるんですのよ」
アスクレーは木の影に座る
さあ、フィオ君。こっちへいらして?」
片膝をポンポンと叩いてみせる。フィオは向かわないが無理矢理乗せられる
「何してるの?……いきなり……」
フィオの声はアスクレーには届かない
「よしよし、いい子ですわ。えらいえらい……最近はいっぱいがんばりましたものね。わたくしがぜーんぶ、甘やかして差し上げます♡」
アスクレーはすっとフィオの頭を胸元に引き寄せ、まるで子どもを抱くように腕をまわす。
「そう……そう、この感じ……っ。ああっ、こんな可愛い子が膝の上にいる幸福……人生に感謝いたしますわ……!」
ヌイアはその様子を遠くからため息を吐いて見ている
満面の笑みで、さらに抱きしめが強くなる。
「もう少し、このままで……わたくしが“よしよし”して差し上げますから……♡」
その瞬間突然波がこちらに向かって向かってくる
フィオはその波を見た瞬間アスクレーから離れて刀を取る
フィオは怒りで声が震えており、目には少しの涙が浮かんでいる
「ようやく会えた……お前に……セイド!!」