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第五話 トシ、異世界の洗礼を受ける。
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目を覚ますと、そこには見渡す限りの草原が広がっていた。確かに先ほどまで己は部屋の中にいたはずである。しかるに、なぜこのような場所にいるのか、皆目見当がつかぬ。夢かと思うたが、手をつねってみても痛みは確かにある。
「さて、どうしたものか」と独りごちたその刹那、近くの草むらが俄かに鳴動した。見れば、体長50センチほどもある巨大な兎が、鋭き角を頂き、こちらを睨んでいるではないか。
「まさか、異世界とは……」
驚き、声も涸れそうになるうち、兎は跳躍したかと思うと、一閃、己が足へ角を突き立てた。
「い、痛い!」
思わず声を上げ、地に崩れ落ちる。左足より迸る血潮、焼け付くような痛み。助けを呼ぼうと叫べども、己の声は風に流され、答える者はない。
もがく背中に、再び鋭き衝撃が走る。角が深く肉を抉ったのである。
「う……」
意識は朦朧とし、視界が滲む。どこまでも広がる空を仰ぎながら、己は静かに意識を手放した——。
スマホゲーマのトシの運命は?