4 収穫祭
収穫祭が行なわれた。屋台、祭り囃子、御神輿、聖女の舞、お酒も振る舞われ、花火も上がった。
4 収穫祭
村民集会が開かれた。収穫の事、分配の事。収穫した0.1%を現物として渡し0.9%を村内で消費する。残りは買取だが当初は等分で当面必要な金額が支払われ、残りは実際の売り上げに応じて分配される。今回投資に金が掛かったので、ここ数年は、投資分を差し引いて分配金が支払われる。来週の土日は収穫祭を行う。その費用は全て領主が持つ。今年は時期をあわすため無理をしたが、今後は冬植え、春植え、夏植え、秋植えと分け、豊穣の調べは使わず、他所からの手伝いも無くすつもりだ。農協の指導の元、自分達で頑張って欲しい。と領主が挨拶した。
手放すと言われ途方に暮れた人々もいたが、大体の人々はそれなりにやろうとした。
収穫祭は土曜日の午後から行なわれた。領主舘と横の広場を中心にして、沢山の屋台と祭り囃子と御神輿が出て盛大だ。この国の聖女の衣装纏い、舞をった後祝福贈り会場いっぱいに光が落とした。酒樽が持ち込まれ、巫女達が酒つまり、この村で出来たビールの様なお酒が出された。出来たての美味しいお酒に歓声上げおかわりする連中もいる。子どもは果樹ジュースだ。お酒は終わり、次は7時と告げられる。暗くなって花火が始まった。200人総出で花火を見る。花火の後はお酒が出された。食事も9時には打ち切られ、10頃には終了した。
翌日はセレモニーだ。前日と違い、会議室に食事をのせたテーブルが有り、お酒やジュースもある。舞台上では聖女の踊りと祝福がある。
領主が挨拶する。その後表彰がある。相手はマリエールである。
「男爵令嬢マリエール。そなたはこの領土の水問題を解決し、領土を豊かにした功績は大きい。よってこの場で表彰する。」
4歳になったマリエールが、ありがとう御座います。と返答して表彰を受け取った。会場には拍手がこだました。
その後、毎年秋には収穫祭を行なう事が告げられた。領主とマリエールが各テーブルを回る。
今年の収穫祭はこうして終わった。
各家庭に収穫の0.1%の収穫物と家族の人数に応じた。分配金が渡された。厳しい時期を知る人々には大きな収入だが若者からは物足りないという声もある。実績払いの分がある事、当分は領が投資した金額の回収がある事、この領では例がないが、領主にたいする不満は反逆と見做される事を告げた。今迄は、一緒に働いて来たが領主と市民だ。これまでと同じ様にこれからもあるか分からない。急激に変動するとついて来られない人々もいる。執事夫婦とロイドも同じだ。態度もいい方も変えない、執事夫婦とロイドはお払い箱になった。代わりマリエールのアンドロイドだ。諸事に通じ、相談役にもなれるアンドロイドは手放せない。ただ見た目若い女性のアンドロイドに領主夫人が気にしていることは誰もが知っているが、声を上げる者もいない。
実際、領運営に関する事は、領主とマリエール、アンドロイドで決められる。領主夫人がいても意味はない。それでも3回一度は顔を出している。
「冬の植え付けに関して少し変更があります。ビールの需要が予想より多く、大麦の不足が予想されます。大麦を冬の植え付けに加えたいと思います。」
マリエールの発言にアンドロイドは同意して、領主はビールの需要がそこまでかと驚く。しかし、大麦の冬の植え付け自体に驚きはない。時期外れの植え付けでも問題があれば豊穣の調べでどうにかなる。農民達には自力で何とかしろと言ったが、いざとなれば、マリエールがいる。雰囲気を読まない領主夫人の発言が出る。
「麦の植え付けは春でしょう。今まだ植え付け出来ないわ。」
一斉に向けられる白けた視線。それでも母親を思うマリエールが発言した。
「一般的にはそうです。しかし、今は緊急時です。品薄で客を失う分けにはいきません。多少無理してもこの時期の植え付けが必要です。手はあります。」
マリエールが庇ったのに領主夫人は追い撃ちをかける。
「それほど必要なら他領から買えば良くない。」
マリエールも諦め気味に、
「ビールの愛好者は、この領でアイテムボックスで管理された大麦から作るビールだからこそ好むのです。他領の大麦は使えません。」
領主夫人は、そうなの。と言っただけだ。
事態の変化についていけない者はいる。執事夫婦やロイドは典型だ。時と場所を選ばない行動と言動、彼らは放逐された。