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         275 女神

 ターニアは女神の様な生き物に「あなたは女神ですか。」と聞いた。肯定も否定もしない。ターニアの質問には誠実に答える。

            275   女神


 ターニアはふっとした疑問を口にした。

「あなた様は女神様なのですか。」

女神の様な生き物は微笑えんだ。

「私は女神様という存在を存じません。妖精や精霊に教えて頂き大抵の事は存じておりますが自ら動く事は漂うばかりで、力の及ぶ範囲もその力も限られています。あなたの考えている女神様とは違いますよ。せいぜい外見が女神様の様だと考えてみえるのでしょう。

あなたの考えている女神様は摩訶不思議な力で、不可能を実現される方でしょう。私にはそんな力はありませんわ。」

ターニアはまだ納得していない様だ。

「それではあなたはどんな力をお持ちなのですか。」

女神は微笑みを残して、

「施せるものには癒しを、癒しが難しいものには消滅をしています。我々はそれぞれに権能が違っております。豊穣を司るもの美を司るもの幻影を司るもの、気候を司るもの生と死を司るもの愛を司るもの、意思疎通を司るもの夢を司るもの-------------。」

ターニアは呆れた。

「それはもう女神そのものではないですか。」

女神と断定されたものは、

「我々は何と呼ばれているか知りません。あなたが女神と呼ぶならそうなんでしょう。我々は我々の権能を果たしているだけです。」

ターニアはもう一つの疑問を問うた。

「女神の力は何処でも起こるのですか。私は今迄見た事がありません。」

女神は微笑えんだままだ。

「妖精や精霊のいないところでは力はでない。あなたもここで始めて意思疎通の力の加護を受けたのではないですか。」

ターニアは思い当たる。知らない存在とこんなに話したのは始めだ。思った事がそのまま言えている。

ターニアは、

「そうですね。始めての方とこんな風にお話しした事は今迄にありませんでした。女神様のご加護です。しかし、人間の世界にはどうして妖精や精霊がいないのでしょうか。」

ターニアは少し寂しそうに言った。女神は、

「妖精も精霊も我々も霊的存在です。その存在を否定する者が多ければ存在する事が出来ません。」

女神は当然の事の様に言う。ターニアは、

「ならば、人間が妖精や精霊や女神様を信じれば、人間の世界にも妖精や精霊が現れるのですね。」

女神はコックリ頷いて、

「容易い事とは思えませんがその通りです。」

ターニアと女神は女神の森の作り方等を熱心に話し合った。ターニアは人間の大陸に妖精や精霊、女神を復活させる決意をした。

 スザンヌはターニアの決意を応援した。ターニアとスザンヌの影響力があればある程度妖精や精霊、女神を信じる者もあるだろうし妖精や精霊、女神の居所も出来るだろう。

 問題はキャサリンだ。ぼんやりした存在は判るし念話は聞こえるが使えないので会話に参加出来ない。強固な常識に阻まれて妖精や精霊、女神と言う存在が認められないのだ。スザンヌから話しを聞き、ターニアの様子を見てもなお自分の常識の枠から踏み出す事が出来ない。キャサリンは自分が情けないと思った。これまでスザンヌの常識を破る訓練を受けて恩恵を受けてきたのに自分は自分の枠に囚われている。自分は恩知らずだと思った。

 3人で帰って、それぞれの活動に入った。

 キャサリンは妖精や精霊や女神をぼんやりとしか見えない。念話も聞こえるが使えない。キャサリンは罪悪感を感じる。キャサリンは常識に囚われ過ぎている。

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