267 入学試験
スザンヌはターニアに高機能自閉症を確認する知能テストを行なった。ターニアは高機能自閉症ではない。しかし問題はある。
267 入学試験
1ヶ月後、スザンヌはターニアの所を訪れた。ターニアはスッカリと麗しい令嬢になっていた。年齢も4歳になり集団生活はさせていないそうだ。来年の飛び級試験と入学試験を目標に対策をさせているそうだ。
先ずターニアに様子を聞いた。知らない事が知れてとても充実していると言った。やっている事を聞いたら音読と練習問題をやって間違えた所を復習しているそうだ。生活上問題はないか聞いたら自由時間が減って絵が描けない事が残念だと言うので母親に配慮して欲しいと伝えた。
知能テストを行った。IQを測る10歳以上が対象の主に高機能自閉症の有無を確認する知能テストだ。集団生活した事ないターニアには答え難い問題もあるだろうがこうすればいいという考えを答えればいいと伝えた。多分今後集団生活で困る事があるだろうが、集団生活での対応はテクニックと割り切ればいい。
知能試験を行なった結果はIQ150と出た。年齢不相応で正確な数値はでないけどターニアが天才である事は間違いない。高機能自閉症に関しては、ターニアが高機能自閉症と断定する結果はない。ただし問題である事は幾つがある例えばターニアには同年代の子どもと接した事がほとんどない。関心がない。対人関係が問題だ。対人関係のテクニックを学ぶ事と対人関係に興味を持つ事の両方が課題になる。更に興味を持つと周りが見えなくなる。所謂天才型だ。救われる所はターニアは偏屈ではない。妙な拘りはない。気質は穏やかで素直で明るい。人気者になる可能性もある。支える者が必要だ。
学習の様子を見学した。先ずは参考書の音読だ。既に大抵の文献は読める。音読しているのは何処まで理解しているかの確認だ。音読した部分で質問する。だいたい適切な解答が返って来る。訂正や補足を大人が返していく。練習問題と解答と確認も同じだ。ターニアの人間関係は指導者との関係だ。基本その外の人間関係はない。経験していない事を理解しろ、興味を持てと言っても無理だ。
その1ヶ月後スザンヌはターニアと同じ年頃の女の子を連れて来た。名前はキャサリン。ターニアと同じで可愛い、綺麗な女の子だ。キャサリンはターニアに向かって笑い掛けた。ターニアはどうしていいのか判らない。
キャサリンはターニアに女の子の遊び方教えていく。ターニアは慣れないままにそれを熟していく。キャサリンはターニアに声掛けしていく。ターニアは応じるようになる。スザンヌはキャサリンと一緒に勉強する事を勧める。スザンヌの特別の課題だ。実はターニアがやっている次の飛び級の課題だ。2人に同じ参考書を渡し、同じ所を同時音読させた。2人共に読めない事も理解出来ない事もない。しかし難しいと感じる。スザンヌは2人に質問していくそれぞれに解答していく。ターニアはキャサリンが違う答えをする事が不思議らしい。スザンヌが正解を伝えてそれぞれの答えを修正していく。
スザンヌはターニアと彼女の親にキャサリンの事を伝える。キャサリンは姉の娘でターニアと同じ年。来年ターニアと同じ学校を受験する。ターニアと同級生になる筈だ。ターニアの友達になればいいと思っていると。
スザンヌはターニアの所に同じ年頃の女の子を連れて来た。一緒に遊んだり勉強させたりした。




