234 マリン国
国立学校の入学試験が実施されて半分が落ちた。言語の違う国の人々と読み書き計算の苦手の市民が不利だ。
234 マリン国
マリン国の国立学校は入学試験が科され、合格者だけが入学するが、言語の違う国や読み書きの出来ない市民には入学が難しい。学齢10歳で入学なので9歳で試験を行なう。学科試験では読み書き計算、文章能力が問われる。実技試験では魔法の素質が問われる。面接試験では自由で平等な社会作りを目指す為に何が必要かが問われる。試験内容が公示されており合格基準も示されているが約500人の受験生の内250人しか合格しなかった。
他言語だが合格した者の内にホルスがいた。ホルスはマリン王国の国王の末裔だが今は低位の貴族の3男だった。語学は得意で周辺諸国の言語に精通している。ただ独学で読み書きは得意でも会話の自信がなかった。魔法は得意で基本的な魔法は一通り出来る。下級貴族で十分な仕送りは期待出来ない。アルバイトをする必要がある。魔法はその上で役に立つ。奨励金がついたので毎日アルバイトしなくてもよくなった。
クラスは成績順だ。ほぼ中位のクラスだ。ホルスと同じように他言語の国の貴族がいる。同言語の貴族もいる。皆長男以外だ。皆レイシア様の国作りの思想に感化されてその元で働きたいと思っている。平民も多い。主に商人の子どもだ。自由と平等の国には知恵と魔法が必要と考えた。女性も多い。自由と平等への憧れは女性の方が強いのだろう。
ホルスの友達はルキナと言う。同じ国の子どもだ。ホルスと違うのはルキナの家は上級貴族だ。こんな場じゃなければ口も聞けないたろう。流暢に話す同級生と話し難くくてルキナと出会った。
「始めましてルキナ、私はホルス。どうやら私達は同じ国の出身らしい。友達になろう。共通の話題も多い筈だ。」
こうしてホルスの学校生活は始まった。事業、産業、人々の受け入れが始まった。国土は整備されて拡大していった。マリエールはレイシアに言った。
「国土の復興も成り、あなたとの友情も実ったわ。いきなりアンドロイドを引き上げる事は出来ないと思うけれど、私自身は次の世界に移ってもいいかしら。」
レイシアは浮かぬ顔で、
「学校にホルスという男子学生とルキナという女子学生が入学したの。ホルスの輪廻は大魔法使い、ルキナの輪廻は魔女。2人はマリン国の崩壊を招いたわ。その後も転生する度に悲劇を繰り返す。あなたに輪廻を止めて欲しいの。」
輪廻を止める? そんな摩訶不思議な能力ある筈がない。
「レイシア、そんな事あなたの専門じゃないの。私そんな摩訶不思議な事やった事がないし、やれるとも思えないわ。」
レイシアは口惜しそうに、
「マリエール、あなたのアイテムボックスは時を止めて永遠に保つのではなくて。2人をアイテムボックスに入れれば輪廻が止まるのではなくて。」
確証はないが多分当たりだろう。しかし、罪のない2人にそれは出来ない。
「アイテムボックスを持つものは置いていってくれるのでしょう。それに収納を命令する存在を残していって欲しいの。一つで良いわ。」
マリエールはレイシアにアンドロイドは暫く置いていくので次の旅に出たいと言った。アンドロイドに収納を指示出来る存在を置いていって欲しいとレイシアはマリエールに頼んだ。




